金城武は今どこに? 台湾でいまだ支持を集める29年間ノースキャンダル俳優の歴史
新型コロナウイルスによる肺炎で逝去した志村けんさん出演の「台湾観光CM」が再度注目を浴びたが、共演者の俳優・金城武はいま何をしているのだろうか? 金城といえば映画『レッドクリフ』(2008~09年)で天才軍師・諸葛孔明を演じた姿が印象深いが、日本のメディアではドラマ『ゴールデンボウル』(02年/日本テレビ系)の出演を最後にめっきり姿を見せなくなった。今回はそんな彼の現在を追ってみたい。
今年46歳となる金城は、日本人の父と台湾人の母との間に産まれた日台ハーフ。これまで数々のCMや映画に出演してきた言わずと知れた「アジアの大スター」だ。幼少期は台湾で生活していたが、当初はハーフ故に周りから寄せられる好奇の目に困惑していたという。この頃に感じた「孤独」が、後の金城に「大きな影響を与えた」と台湾メディアのインタビューでも度々答えている。
そんな彼が芸能界入りしたキッカケは、15歳の頃友人の母に誘われて出演したサイダー飲料のCMだ。当初は乗り気でなかったそうだが、丁度バイクが欲しかったので承諾したんだとか(スター誕生にありがちなエピソードだ)。こうして、長きにわたる芸能生活が始まることになる。
その精悍なルックスからすぐさま台湾中の話題となった金城は、香港、日本へと活動の幅を広げていく。日本語、北京語、広東語、台湾語、そして英語が堪能という類稀な才能を生かし、映画『恋する惑星』(原題:重慶森林/1994年)への抜擢、99年にはディズニー映画『ターザン』の日本版、香港版、台湾版の声優を務めるなどアジアを股にかけて活躍を見せてきた。
そして日本では、HIV感染症をテーマにしたドラマ『神様、もう少しだけ』(98年)が大ヒットしたことにより爆発的な知名度を得ることに。『SMAP×SMAP』や『とんねるずのみなさんのおかげでした』(すべてフジテレビ系)などバラエティ番組に出演した際も、ほとんどネイティブといって遜色のない日本語を駆使し、軽妙なトークで出演者とコミュニケーションを取っていた姿を覚えている人も多いだろう。志村氏と共演した「日本アジア航空」CMの出演もこの時期だ。しかし、中山美穂とダブル主演を務めた『二千年の恋』(00年/同)、黒木瞳演じる主婦との恋を描いた『ゴールデンボウル』以降、日本のドラマ出演はパッタリとなくなってしまう。
この頃から金城は、香港や台湾はもとより台頭しつつあった中国映画に重心を移していく。『ターンレフト・ターンライト』(原題:向左走、向右走/02年)『LOVERS』(原題:十面埋伏/04年)『傷だらけの男たち』(原題:傷城/06年)そして『レッドクリフ Part I』(原題:赤壁/08年)と、大作への出演が続き映画俳優へステップアップしていったのだ。