『JIN-仁-』『野ブタ』『ハケンの品格』……再放送が「春の新ドラマ」の視聴率抜く異常事態!
新型コロナウイルス感染拡大による自粛ムードの中、テレビ各局もいわゆる“3密”回避のため収録やロケをストップさせ、初回放送から延期となるドラマが続出している。そんな中、にわかに脚光を集めているのが、その穴を埋めるべく放送されている再放送ドラマの健闘だ。
テレビ朝日系の『BG〜身辺警護人〜』(木村拓哉主演)やTBS系の『恋はつづくよどこまでも』(上白石萌音&佐藤健主演)といった最近のヒット作から、2005年放送の日本テレビ系『野ブタ。をプロデュース』(亀梨和也主演)、07年放送の『ハケンの品格』(篠原涼子主演)、09年放送のTBS系『JIN-仁-』(大沢たかお主演)といった10年以上前の作品まで、再放送されているドラマは軒並み2桁視聴率を記録。「視聴率が取れないと嘆いていた昨今のテレビドラマの現状が嘘のようです。どれも放送されている新作ドラマより視聴率がいいんです。局関係者はみなあぜんですよ」(マスコミ関係者)と驚きを隠せない様子だという。
先のマスコミ関係者は続ける。
「どの家庭も今は自宅待機を半ば強いられたような状態になっているわけですから、必然的にテレビを見る時間が増える。若い世代には、『ネットしか見ない』という層も多いでしょうが、20代後半以降の世代は、まだまだテレビ依存が強い傾向にあるといえるでしょう。しかもネットはここのところ、SNSも情報サイトも、ネガティブな書き込みや情報ばかりが躍っており、『見るだけで気がめいる』という声も上がっているんです。そんな中、ヒットドラマの再放送は、心を癒やすコンテンツなのかもしれません。特に、再放送ドラマのラインナップは、ジャニーズをはじめとしたイケメン主演のドラマや、女性の活躍を描くドラマが多く、主に女性視聴者が視聴率を押し上げているという印象があります」
一方で、数少ない春ドラマの新作は、再放送ドラマの勢いに完全に押されてしまっている状況だという。
「フジテレビは今期、織田裕二主演で2018年にスマッシュヒットした『SUITS』の続編『SUITS/スーツ2』の放送に期待をかけていましたが、初回こそ11.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録したものの、2話は8.8%に下落。第3話以降の放送時期は未定のようです。また、日本テレビも、中村倫也のゴールデン・プライム帯初主演作『美食探偵 明智五郎』を放送中ですが、『SUITS』同様に、初回は2桁に乗せたものの第2話で1桁に転落してしまいました。第1話の内容を見て、リタイアした視聴者が少なくなく、それが数字に反映されてしまったのでしょう」(同)
実際にTwitterで反響を見てみると、「特に10年以上前の再放送ドラマに関するツイートが目立っている」(同)とのこと。「名作はいつの時代も不滅」「過去のドラマでも、いま高視聴率狙える作品はいっぱいある」「フジも『あすなろ白書』とか『ロンバケ』とかをやってほしい」「もうずっと再放送でいいんじゃない」「再放送ドラマは、懐古しながら楽しむ視聴者、初めて見る若い世代の視聴者、両方取り込めるから強い」といった声が飛び交っているようだ。
「コロナ禍が続く限り、テレビ局はドラマに限らず、アニメやバラエティ、音楽番組など、再放送に頼らざるを得ません。しかし、再放送だとスポンサーからの広告料が激減するため、局にとっては死活問題になります。ただ、再放送で話題になった作品の傾向、その視聴者層などを分析し、今後のドラマ作りに生かせる面はあるかもしれません。YouTubeのトレンドを見ていても、必ずしも最新の情報を扱っているものだけが話題を呼ぶわけではない。『若者にウケるような、新しい感覚のドラマを生み出さねば』というテレビ局の意識にも変化が生じる可能性はあります」(同)
コロナ禍が過ぎ去った後、テレビ業界がどう変わるのか、注視していきたい。