『SATC』シンシア・ニクソン、アジア系への差別扇動動画に「吐き気がする」! 次期大統領候補を痛烈批判
アメリカ現地時間4月5日午後11時頃、ニューヨーク市ブルックリンに住む39歳のアジア系の女性がゴミ出ししていたところ、玄関先で待機していた男に硫酸をかけられ、重度のやけどを負うという事件が発生。犯人はいまだ捕まっておらず、犯行動機も不明だと報じられたが、「アジア系だから狙われた」という見方が強まっている。
ニューヨーク市警は6日、外出制限が発令されてから市内の犯罪件数が20%近くも減少したと発表。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、アジア系住民に対する差別的行為は増えており、暴言を吐かれたり暴行を受けたりする事件が相次いで起きている。
そんな中、民主党の大統領候補指名を確実にしているジョー・バイデン陣営が制作した、ドナルド・トランプ大統領に対するネガティブキャンペーン動画が大批判を浴びているのだ。
バイデン氏は18日に公開した動画で、中国経済に配慮したせいで新型コロナウイルスに対するトランプ大統領の初期対応が遅れたと批判。ジョーが1月末の段階で「アメリカの専門家を中国に派遣すべきだ!」「自分が大統領だったら中国に電話して『もっと情報をオープンにして透明性を高めろ、我々には知る権利がある』と強く要求する」と発言する姿を動画に組み込み、ウイルスの感染拡大は中国のせいだと言わんばかり。さらに、大統領はCDC(アメリカ疾病予防管理センター)のチームを中国に一度も派遣せず、「旅行制限をかけてからも、中国から4万人をアメリカに入国させた」と糾弾。アメリカを世界で最も感染者数が多い国にして、「2,200万人ものアメリカ人を失業させた」と厳しく断罪した。
この動画に、ネット上では「アジア系への差別、外国人嫌悪をあおるようなネガキャンだ」などと批判が集中。「すでに深刻な差別を受けているのに、この動画のせいでますます悪化してしまう」「アジア系アメリカ人への嫌悪感がこれ以上高まるなんて……」などと絶望する声も上がった。
アメリカ自由人権協会のスタッフで弁護士のセシリア・ワンは、ツイッターでバイデン氏の姿勢を批判。この動画のせいで「アジア系アメリカ人が暴力攻撃を受けることになるだろう」と懸念を示し、1万5,600以上の「いいね」を集めた。
ニューヨーク州議会議員で、台湾系アメリカ人のユー=リン・ニュウも「(バイデン氏とトランプ大統領が)どちらがよりアジア人を差別しているかを競うかなんてどうかしている。今、そんなことをしている場合ではない」と怒りのツイートを投稿。これにドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のミランダ役でブレークした後、政治家に転向したシンシア・ニクソンが同意。バイデン氏に対して「吐き気がする」と憤慨したのだ。
ユー=リンと同じく民主党員であるシンシアは、「この忌々しい外国人嫌悪動画をジョー・バイデンに投稿させたのは誰? ジョーに必要なのは、民主党員と無党派層の士気を高めること。人種差別主義者に求愛することではない」とツイート。「人種差別主義者たちがあなたを支持することなんてないのよ、ジョー。そして、あなたは、それ以外の人々の吐き気を誘ったのよ」と痛烈に批判した。
このシンシアのツイートには「その通り。人種差別主義者の票集めを目的としたようなネガキャンだ!」などと同意する声が殺到。深刻化するアジア系への差別的行為を批判する、意義のあるツイートだと評価する声も上がっている。
ウイルスよりも手ごわいように思える人種差別。政治家が人種差別をあおることは決してあってはならないが、次期大統領候補までこの始末。シンシアのツイートが、風向きを変えるきっかけになるといいのだが……。