「ラスト1点」に釣られて買った、11万円の高級ダウンに思わぬ“宿命”――庶民をバカにするのもいい加減にせえ!
――2年で1,300万円以上溶かし、現在借金は●00万円の“買い物狂い”のライターが、苦しくも楽しい「散財」の日々を綴ります。
毎月散財している私ですが、一昨年まではジュエリー一点豪華主義だったため、給料のほとんどをジュエリーにつぎ込み、バッグも服もイオンかフリマアプリで見つけた中古というありさまだったんですよ。彼氏には「ちょっと……なにその腕。封印されてるの?」と心配されるくらい、じゃらじゃらとバングルやブレスレット、指輪をはめまくる一方、服は毛玉だらけだったのです。
そんなある日のこと。
「見て! 0.7カラットのダイヤよ! ホーッホッホ」と彼氏に見せびらかしていると、彼氏がこんなことを言いやがりました。
「N子がつけてるとすごく安く見えるね……」
ちょっ……おま、あたいを舐めたらあきまへんでッッ!!!!!!(このときはまだ預金があった)
そんなわけで、私は服を買うと決意したのです。季節は10月後半。私が狙いを定めたのはダウンコート。だってこれからの季節、どこへ行くにもアウターを着ていくわけじゃないですか。中の洋服なんてほとんど関係なくなるのです。おしゃれなダウンさえあれば、あたしはもう舐められやしないッ!!
10月にダウンを買おうとするなんて、どう考えても早すぎるだろうと思いましたが、もういてもたってもいられず仙台へ出かけ、おしゃれな女の聖地・PARCOに入っているブランドに片っ端から入り、ダウンコートを探しました。
お、あったあった。イイ感じのダウン発見!
店員さん「ぜひ試着してみてください!」
私「あ、お願いします……!」
しかし、大きく見えたそのダウンコートは着てみるとピッチピチでした。トレーナー1枚しか着ていないというのに、肩がもうパンパン。こんなほっそいダウンコートあるのかよ!! そのダウンコートはウエストがシェイプされており、確かにダウンなのにすっきりして見えました。藍色に金のファスナーもかっこよい。でも、まったく中に服が着こめないのがなあ……。
店員さん「お客様、タトラスのダウンコートは冬でもTシャツ1枚で過ごせるほど暖かいんです。中に着こむ必要はないと思いますよ!」
そうかあ……。そういうもんなのか……? でも、ここは東北。冬場はマジで冷え込むのです。このコートを着ている間はよいとしても、お店に入ったら脱ぐ必要があるじゃないですか? そのときにTシャツ1枚っていうのはちょっと……。
私「すごく気に入ったんですけど、サイズが……。もっと大きいサイズはありますか?」
店員さん「そうですねえ……。もうダウンコートは終わりの時期なので、在庫があるかどうか……。お調べしますね」
この一言に私は衝撃を受けました。なんとダウンコートというのは、8月の終わりくらいから出始めて、おしゃれさんは9月には買いにくるというのです。なんてこったい!!
私が「まだまだだ」と思っていた10月後半には、サイズによっては欠品しているのだそうです。試着したダウンコートもサイズ「3」はSOLD OUT。一店舗だけ残っているものの、それは取り置きの商品だと言われました。うーむ、『商品がどこにもない』と言われると、めちゃくちゃ欲しくなってきたぞ……。
店員さん「お客様の体型なら『2』でもすっきり着られると思いますよ!」
私「そうですかねえ……」
結局、決められず、うんうん唸っていると、ほかの店員さんが慌てた感じで駆け寄ってきました。
店員さんB「ありました、在庫! 店舗に問い合わせたら取り置きキャンセルになっていました!」
この一言に私は店員さんと手を取り合って喜び、「店舗に届いたらすぐに配送しますね!」「はい!」なんてやりとりをしながらレジに向かいました。ああ、おしゃれの風はやっぱり私に吹いている! 神様がこのダウンコートを着てオシャレになれと言っているんだわ! すでに在庫1点のダウンコートに目をとめるなんて、私ったらお・め・が・た・か・い!
店員さん「11万5,500円でございます」
ん……? 次の瞬間、私はレジに表示された金額を前に目がテンになりました。じゅういちまんごせんごひゃくえん、だと……?
私「…………」
イオンなら5,000円くらいだが……? いや、デパートのダウンコートは、まさか5,000円ではないとは思っていましたよ。でも、5万円もあれば余裕で買えると思っていました。まさか10万越えだなんて……ウソやろ? でも、これだけ「『3』があれば欲しいんですけどね~」とごねにごねて問い合わせてもらって、散々喜んだ後に「やっぱいいです」なんて言うわけにいかず、心の中で嘔吐しながらカードを切りました……。タトラス……。おのれ、タトラス。あんた、高過ぎよぉ!! もう10年は着てやるんだから!!