「春夏物が壊滅的に売れない」……新型コロナで大打撃のアパレル業界、「大量在庫」をどうする?
今回の新型コロナ流行による物販の売上低下は、全国的に満遍なく店舗営業が止まっていること、日本も海外も同様ということで、逃げ道はありません。これまでの不況やアクシデント、災害なら、どこかの地域や国に限定されていたので、場所を移せば物販は可能でしたが、今回はそうもいかないのです。
そこであらためて注目されるのがネット通販。実店舗があまり稼働できない分、ネット通販の受注は増えています。日用生活品や食料品を中心に、またゲーム機器なども好調で、宅配業者の求人募集が急増しています。
アパレルに関して言えば、企業によって優勝劣敗がありますが、例えば、ユナイテッドアローズの3月度実績では、自社オンラインストアとゾゾタウン(ZOZOTOWN)での売上は23.8%増に伸長しています。4月度の実績はまだ出ていないものの、ネット通販の売上高が減ることは考えにくく、不調としても前年並みは維持するでしょう。やはり実店舗のほとんどが閉鎖されている今、そのブランドの商品が欲しければネット通販で買うしかないからです。
さて、アパレル各社は莫大な春夏物在庫を抱えることになりますが、今後どうなるのかを考えていきたいと思います。最初に言うと、現状、在庫を消化する手立ては二つしかありません。
・ネット通販で在庫処分販売をする
・「バッタ屋」と呼ばれる在庫処分業者に払い下げる
各社はすでにネット通販で割引を強化しており、在庫処分を進めているように見えます。例えば、アダストリアの自社通販サイト「ドットエスティ」ではタイムセール期間が延長されたり、それが終わると、レジにてさらに対象商品全品10%オフという割引施策が連続で行われている状況。またZOZOでは割引クーポンが連日発行されているばかりでなく、参加ブランドも増えています。これは取りも直さず、ZOZOで在庫処分を進めたいブランドが増えているということでしょう。
また、在庫処分業者にも在庫引き取り要請が急増しています。メディアへの露出が多い、在庫処分業者のショーイチは、2月の仕入れ(在庫引き取り)は通常の約3倍、3月も高水準だったとのこと。恐らく休業が本格化する4月はもっと増えることになると考えられます。
京阪神で10店以上の直営店を運営している在庫処分業者のラックドゥも、2月、3月と在庫引き取り要請が急増しているといい、「全部の要請には対応できない」状況にあるそうです。