「春夏物が壊滅的に売れない」……新型コロナで大打撃のアパレル業界、「大量在庫」をどうする?
――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!
新型コロナウイルスの感染拡大によって、4月7日に政府から7都府県に非常事態宣言が出されました。これによって東京、大阪、神戸などの主要商業施設が一斉に休業。さらに16日には、非常事態宣言の対象地域が全都道府県に広がり、18日から地方の商業施設の多くも休業に入りました。
現在、多くの物販は大打撃を受けています。アパレルでは、3月から新型コロナ対策として、店舗の営業時間短縮や休業が増えていましたから、3月は売上に急ブレーキがかかり、4月に至っては実質的にほぼゼロ、つまり春物の実店舗売上高はほとんど見込めないと考えられます。また今のところ5月6日に非常事態宣言が解除されるということですが、これでゴールデンウィーク商戦も消えてしまいました。
アパレルの売れ行きというのは、3〜4月は比較的好調な月で、ゴールデンウィークに入ると、帰省や行楽地への観光が多くなるため、あまり伸びず、夏のセール開始までその状態が続きます。
つまり、今の状況だと、春物だけでなく夏物も壊滅的に売れないということになるのです。夏のセールで、どれだけ在庫が消化できるかという点が肝となりますが、毎年夏のセールは、冬のセールに比べてインパクトに欠けるものなので、高い消化率は望めそうにありません。
一斉休業が本格化した4月の業績はまだ出ていないものの、店舗の営業時間短縮が始まった3月の業績では、早くも苦戦が鮮明となっているようです。
帝国データバンクによると、集計対象23社のうち、2020年3月の月次売上高において、既存店ベース(出店から1年以上経過した店舗のみ)で前年同月を下回ったのは21社(構成比91.3%)、上回ったのは2社(同8.7%)。また、全店ベース(出店から1年未満の店舗も含む)で、前年同月を下回ったのは21社(同91.3%)、上回ったのは2社(同8.7%)で、既存店と同様の結果となったそうです。
3月でこの調子とあっては、4月はこれ以下の水準になることは間違いありません。アパレルはこの新型コロナ禍で、窮地に立たされている業界の一つと言えるでしょう。