緊急事態宣言でACジャパンにCM差し替え続出! テレビ局関係者は「本当の“危機的状況”は、番宣だらけになったとき」
新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、テレビ番組のCM枠が公益社団法人ACジャパンのCMで埋め尽くされる機会が増えている。特に、4月7日に政府が「緊急事態宣言」を発出した前後は、「AC」や「ACジャパン」がTwitter上でトレンド入りを果たすなど、話題を呼んだ。ACのテレビCMの放送頻度が高まっている現象は、2011年3月11日に発生した東日本大震災直後と同じだけに、「非常事態」と実感させられるからか、ネット上では「ACのCMはトラウマ」「不安な気持ちになる」との声が上がっている。
一方、テレビ局側にとっては、CM枠を企業に提供することで得る広告収入は、最も大きな収入源だ。そのため、ACジャパンのCMへの差し替えは不利益となるようにも思えるが、実際は「ACが流れているうちは、まだ大丈夫」というのが本音なのだという。
「CM放送枠は、2クール以前、つまり半年前から決まっているものなので、時勢によって別のものに差し替えられることはそれなりにあります。新型コロナ感染拡大の影響を受けた今回の場合、『体調不良にすぐ効いて仕事に行ける』とアピールするような医薬品や、パーティーや飲み会の様子を取り入れたお酒のCMなどは、放送が自粛される傾向になっています。それらをオンエアする予定だった枠で、ACのCMが流れているというわけです」(テレビ局関係者)
しかし、たとえACなどほかのCMに差し替えられたとしても、その枠はもともとのクライアント企業が、CM放送料を負担するのが一般的だという。
「スポンサーからすれば無駄な出費となってしまうものの、不用意なCM内容が消費者離れを招く危険性を考えれば、差し替えは致し方ないところでしょう。放送料は企業側の負担となるため、テレビ局の収益には、現状、特に影響は出ていないと言われています」(同)
しかし、テレビ局側にとって問題なのは、新型コロナウイルスの終息時期が、まったく予測できないことだ。
「いずれはCM枠の買い手がつかなくなるかもしれないし、差し替えを続けているスポンサーが、枠を返上したいと依頼してきてもおかしくはない。そうなると、いよいよ何も放送できるものがなくなってしまい、最悪の場合は『自局の番組の宣伝』が、延々と流れることになります。深夜帯では、そういった枠もたまに見かけますが、朝やゴールデン帯でもそうなった場合は、テレビ局にとって本当の『危機的状況』となります」(同)
いずれ「ACラッシュ」ではなく、「番宣ラッシュ」が、トレンド入りしてしまうことにならなければよいのだが……。