杉田智和も独立! 中堅声優の新会社設立ブーム、「メリット」と「デメリット」は?
アニメ『銀魂』(テレビ東京系)の坂田銀時役などで知られる声優の杉田智和が4月1日、長年在籍していた声優事務所・アトミックモンキーを退所し、独立することを発表した。
杉田はもともと大手声優事務所・アーツビジョンと業務提携していたミューラスに所属。2001年にはアトミックモンキーに移籍し、約19年間在籍したが、このたび「株式会社AGRS」の設立を発表、杉田自身が代表取締役を務めるという。
「今後は、声優・杉田智和のマネジメント以外にも、キャラクターマネジメント事業、よろず屋事業(原案協力やキャスティングプロデュースなど)の3部門を展開していくようです。声優自身が事務所を立ち上げても、なかなかこのように多方面に事業を手がけていくのは稀。杉田自身が熱狂的なゲームオタクですので、彼の“オタク脳”を駆使して、どういった新事業を展開していくのか楽しみです」(声優業界関係者)
アラフォーの杉田をはじめ、ある程度年齢を重ねた中堅声優が、独立して新会社を設立するパターンが定着しつつあるという。
鈴村健一が代表取締役の一人として12年、「株式会社インテンション」を設立したほか、浪川大輔が同じ年に「株式会社ステイラック」、立花慎之介と福山潤の両名が代表取締役となり18年に「BLACK SHIP株式会社」を設立している。
では、声優自身が事務所を設立するメリットとはなんなのだろうか。
「まず単純に、ギャラからマネジメント代を所属事務所に抜かれないこと。声優事務所はギャランティの2〜3割を持っていくことが一般的ですが、自分で事務所を立ち上げた場合は100%自分の取り分になります。中堅声優の場合は100万円単位のイベントが毎月発生する場合も珍しくありませんから、年間のマネジメント料を計算すると結構な額になる。独立すればその分を、事務所経営の資金源にできるというわけです」(同)
しかし当然デメリットも発生するという。
「声優自身が代表取締役となる場合、声優としての活動以外に『社長』としての業務も当然増えるわけですから、単純に時間がなくなります。それに、今は仕事が絶えないという声優も、10年後にその人気を保っているかどうかはわかりません。代表となる自分自身の収入のみに頼っていると、必ず先細りになってしまう。中には代表取締役の声優のみで事務所を立ち上げている人も少なくないので、将来的にどんなビジョンを描いているのか、気になりますね。ちなみに、たいていの声優事務所は、安定した資金源として養成所ビジネスを展開しています。ですが最近の傾向としては、養成機関を持たない事務所も増えているので、さらに先行きは不透明と言わざるを得ない面もありますね……」(同)
人々に夢を与える声優という職業。どんな形であれ、長い間現役で活動し、我々に素晴らしい演技と技術を見せてもらいたいものだ。