声優業界関係者がこっそり明かす「イケメンだけど実力はいまいち」な男性声優事情
近頃、タレントと引けを取らないルックスの男性声優が増えてきた。
『news zero」をはじめとするニュース番組や、『ウチのガヤがすみません!』『世界一受けたい授業』(いずれも日本テレビ系)といったバラエティ番組などに進出する梶裕貴。音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク」のメンバーである木村昴や浅沼晋太郎。アーティスト活動やミュージカル出演などもこなす蒼井翔太、『スタミュ』(TOKYO MXほか)の北原廉役で知られる若手・梅原裕一郎など、イケメン声優は増加の一途をたどっている。
「昨今、アプリゲームが人気を博しており、若手声優が恋愛シミュレーションゲームアプリに声を当てることが増えているのですが、彼らは特にタレント顔負けのルックスの声優が多い印象。というのも、人気タイトルのほとんどがイベントなどを開催しており、必ずと言っていいほどファンの前に姿を現すので、みんなルックスを磨くようになっているのです」(声優業界関係者)
しかし、声優業界では、肝心の「声優としての実力」が足りない人も少なくないと言われているそうだ。
「アプリゲームばかりに出演している若手声優のほとんどは、ルックスはいいけど、演技がまだまだですね。彼らは幼い頃からゲームやアニメばかりを見て育ち、声優を志した世代ですが、 自分自身が声優として演技をしようとすると、どうしてもそれらに影響を受けたものを真似する傾向がある」(同)
彼らのほとんどが声優養成所出身だというが、養成所ではアニメに声を当てる技術や、発声法は学べるものの、「それらに比べると、声優に不可欠な『個性を磨く方法』は学びきれない面があります。ですから『声を当てる』という技術は及第点を得られるけれど、声を聞いただけでは誰だか判別しにくいという無個性な声優が多いんです」(同)という指摘も。
「また、アプリゲームは一人でブースの中に入り、黙々と台詞を発するだけなので、大人数で掛け合いの演技をするというアニメの現場での経験が乏しくなる。それも無個性化に拍車をかけている要因の一つでしょう。 アニメの現場に入れば、毎週のように自分よりも経験値の高い声優と同じ場で演技をしなければなりませんから、自分自身が声優としてどれくらいのレベルかを知ることができるのですが……」(同)
たとえ現在、無個性な演技しかできていなくとも、若手男性声優の場合は、将来的に軌道修正できる可能性もあるが、「厄介なのは、ある程度自分のスタイルを確立して安定した人気を得ている中堅の男性声優のケース」(同)のようだ。
「例えば浪川大輔は、バラエティ番組などのナレーションや『ルパン三世』の石川五ェ門役など、幅広く活躍し、男性声優だけの音楽レベール『Kiramune』でアーティスト活動もしている。ルックスも良く、アイドル的な人気を誇っています。ただ彼の演技力が高いかと言われると『正直微妙』と評する関係者もいます。4月から始まったNHK朝の連続テレビ小説『エール』のナレーションを担当している津田健次郎も、ルックスは抜群ですが、関係者の間では『演技の幅はまだまだ狭い』といった声もありますね」(同)
しかし津田の場合は、「独特な色気のある声質に恵まれていますから、聞き手を“騙す”テクニックに長けているんです。持ち前の声色、そしてそれを生かす技術を操ることも声優の技術力の一つと言えます。彼の演技の幅が広がれば、さらに声優としてのレベルが上がるのですが……」(同)と期待も寄せられているようだ。
テレビ出演やアーティスト活動など、「顔出し」の仕事など、現在は声優の仕事は多岐にわたる。時代の流れに乗りつつ、声優としての高い技術を披露していただきたいものだ。