コラム
女のための有名人深読み週報

藤原紀香、新型コロナ感染拡大に「地球よーごめんね」……「誰も傷つけない」発言の妙

2020/04/02 21:00
仁科友里(ライター)

 結果を出すのが政治家の宿命とは言え、人の死を軽視するような発言は、聞いていて気持ちのいいものではない。それに比べると、なんとも間が抜けていて、いい感じなのが、藤原紀香の新型コロナウイルスに関する記述だ。特定の人物へのお悔やみの言葉ではないのだが、新型コロナウイルスが世界中に大きな被害をもたらしていることに関し、“お気持ち表明”をしている。これもまた言葉選びが難しいものと言えるだろう。

 同27日、紀香はブログに「オリンピックが延期となりました。コロナが依然として猛威を奮いまくっています。こんなこと、誰が予想したでしょう」とつづっている。新型コロナウイウスを「目に見えないものとの闘い」とし、「目に見えないものといえば、ウイルスだけでなく、これまで自然や動物の声を、人はちゃんと聞いてきたのだろーか(中略)地球よーごめんね、そしてありがとう」と結んでいる。

 おそらく、紀香はウィルスを環境破壊によってもたらされる公害かなにかだと思っているのだろうが、それは違う。ウイルスや細菌と人類の付き合いは非常に長く、人類はこれらと戦いながら、生き延びてきたとも言える。

 例えば、最近、日本でも爆発的に罹患者が増えている梅毒は、まだ断定されていないものの、15世紀の終わりに、コロンブスが新大陸から持ち帰ったという説が濃厚である。新大陸を発見すれば、新たな領土、奴隷、農作物が手に入るという利点がある。しかし、梅毒のように不必要なものをもらってしまうこともあるわけだ。新型コロナウイルスが最初に発見されたのは、中国の武漢市だが、そこから中国全土、世界各国に広がっていった。グローバル化が進むと、貿易や旅行がしやすくなるなどいいことが増えるが、その一方で伝染病など好ましくないものをもらってきしまうリスクも高まると言える。コロンブスの時代も現代も構造的には変わらないと言えるだろう。

 理論で言えば、紀香の書いている「地球よーごめんね」は的外れである。しかし、紀香のこの文章は誰も傷つけない。加えて、ちょっとズレているという意味で面白くて、話題性もあるのでネットニュースにもなる。だが、炎上するほどではない。

 「話題になる」という芸能人としてのお仕事を果たしながら、越えてはいけない一線を越えることはない。紀香ってやっぱり、芸能人として、すごいと言わざるを得ない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/04/02 21:04
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