『ザ・ノンフィクション』金を稼いでほしい/話を聞いてほしい――夫婦それぞれの主張「3つの病と闘う怜奈~結婚5年目のさざ波~」
番組内で怜奈は超低糖質のクリスマスケーキを製造し、販売するだけでなく希望者に無償で配る企画も行っていた。
事業を興して日が浅いときや自信のないときほど、「タダで働く」ことに手を出しがちで、私も関わっていた事業に「タダで」参画したことがあるが、その経験から、それはやってはいけないと思っている。「タダ」は次にまったくつながらない、とまでは言わないが「タダだから」利用する人も多く、結局は自己満足で終わると学んだからだ。
怜奈のケーキを無償で受け取った母親の一人は、ケーキを食べさせたいと思っていた息子はイチゴが嫌いだと、受け取り時に話す。だが、怜奈のケーキは中にイチゴクリームがサンドされており、結局、息子はクリームのピンク色が見えただけで嫌がって口にしなかった。イチゴが嫌いなのだから仕方ない。イチゴクリームがサンドされていることを怜奈側が伝えていなかったのか、母親側がチェックしていなかったのかはわからないが、これがもし「有償」であったら、事前に双方がもっと細やかにチェックし、対応できたはずだ。
「タダ」は提供する側・受け取る側、双方の判断が甘くなりがちになる。そして互いがそんな甘い状況下で進んだ物事は、本来目指すべき次のステップである「お金が絡んだ局面」の参考にならないのだ。お金が絡んだほうが両方に良い意味での緊張感が走る。
番組の最後で、怜奈は自分の治療費くらいは稼ぎたいと話していた以上、「無償」はやめたほうがいい。竜平が指摘する通り、金を受け取らなければ仕事ではない。怜奈は自分の給料を回して事業を手広くしようとするより、対価をしっかり受け取る覚悟を決めるほうが得るものは大きいのではないかと思う。
次週の『ザ・ノンフィクション』は「就職先はさる軍団 ~師匠と弟子と新入社員~」。猿と家族同然に過ごし、師匠から弟子へ厳しい指導で受け継がれてきたスタイルも今や昔、「日光さる軍団劇場」を運営する株式会社モンキーエンタープライズは週休2日と働き方改革にも対応している。同社に入社した今どきの若者はどう成長していくのか?