海外
実の息子も「権力を持つ男」と糾弾

ウディ・アレン、「少女に性的虐待をするような男」と出版社ストライキで自叙伝発売中止に!

2020/03/09 18:11
堀川樹里(ライター)
どんどん追い込まれているウディ・アレン

 『アニー・ホール』(1977)『ミッドナイト・イン・パリ』(2011)など、数多くの名作を生み出してきた映画監督ウディ・アレン。アカデミー賞をはじめ、名だたる映画賞で評価されてきた世界的名監督だが、彼には長年ある疑惑が向けられている。

 元夫との間に実子3人、養子3人(当時)を持つ女優ミア・ファローと80年頃に交際を始め、87年には息子ローナン・ファローが誕生。91年には、モーゼ(男児)とディラン(女児)という2人の子どもと養子縁組した。そんな中、ミアと元夫の養女で、少女の頃から知っているスン=イーと恋仲になり、ミアと破局。直後、ウディが当時7歳だったディランに性的虐待をしたとミアが警察に通報し、ペドフィリア(小児性愛者)の疑惑が向けられるようになったのだ。スン=イーとの関係は「正真正銘の純愛」と公にし、97年には結婚したのだが、35歳差の2人を祝福する者は少なかった。

 ウディが一貫して否定しているディランへの性的虐待に関しては、ディラン本人が精神的に耐えられずに「トラウマになる」として起訴されなかったが、長年ディランやミアは「性的虐待はあった」と、メディアやSNSで主張し続けている。この状況を見かねたもう一人の養子モーゼは14年、米誌「People」に「ウディはディランを性的虐待なんてしていない。ミアがウディに復讐するための作り話」「ミアは本当に意地悪。子どもをコントロールしたがる」と暴露。最終的に計10人の養子を育てたミアだが、そのうちの2人は自殺しており、何人かは疎遠に。「毒親」とのウワサが根深いため、ウディの性的虐待やミアの証言をめぐっては、いまだ世論も紛糾している状態だ。

 そんな中、ウディの実子でジャーナリストになったローナンは、17年に米誌「ニューヨーカー」に寄稿した、ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラと性的暴力に関する暴露記事で同氏を失脚させ、「#MeToo」運動の立役者として注目を集めるように。18年にはこの記事でピュリツァー賞を受賞。「#MeToo」運動の高まりや、ローナンが以前から「ディランの発言を信じる」と公言していたことから、ウディに対する風当たりが強くなってきた。そしてこのたび、4月に発売されるはずだったウディの自叙伝が、急きょキャンセルされることになったのだ。

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