カルチャー
ホラー女王・犬木加奈子先生インタビュー【後編】

「虐待」はホラーより怖い現実――『たたりちゃん』犬木加奈子が描く“異常なリアル”【『サバイバー』インタビュー後編】

2020/03/05 17:00
有山千春(ライター)

『サバイバー~破壊される子供たち~』(C)犬木加奈子/ビーグリー

――主なターゲット層は、「親になったかつての読者」でしょうか?

犬木 そうですね。10年以上描いていなかったから、わたしのことを覚えてくださっているのはかつてのファンの方々だと思うんです。そんな彼女たちはちょうど子育て世代に入っているのかなと、そこに向けようと思いました。

――かく言うわたしも「子育て中のかつてのファン」です。実際に、『サバイバー』を読み自分の育児を顧みるいい機会になりました。実は今朝も、4歳の子どもが「おなかが痛い」と言ってご飯を食べなくて、たまに嘘をつくので今回もそれじゃないかと思って怒って食べさせようとしていたんですよね。そうしたら、さっき保育園から「遊んでいるときに吐いた。胃腸炎の疑いがある」というお迎え要請電話がありまして……すごく反省しています。

犬木 具合が悪かったのね。でもそれはしょうがない! 深く考えすぎて、傷つかないほうがいいですよ。「いい経験をしたな」と思って、ね。親って、そうやって子どもに育てられていくんですよね。わたしも子どもがいるからわかりますが、たいがいの子どもは好きで嘘はつかないですよ。本当に体調が悪いときもあるし、何かしらの原因がある。大人のように、「人を欺いてやろう」って感覚でつく嘘ではないと思います。だんだん小ずるくはなってきますけどね。

――もっと信じないといけませんね……。先生のお子さんは、先生の漫画を読まれるんでしょうか?

犬木 子どもは今35歳なのですが、幼稚園くらいのときに『たたりちゃん』を描いていました。でも「お母さんの漫画は怖いからイヤだ!」と言って、読んでくれなかったですね(笑)。普通に「りぼん」(集英社)や『美少女戦士セーラームーン』(講談社)とかばかり読んでいました。

――一方でお母さんは、わたしをはじめ全国の子どもから愛されていたと(笑)。昔からのファンとしては、今も『たたりちゃん』の頃から、先生はテーマが一貫しているなと思いました。どちらも“いじめ”が共通しています。

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