「虐待」はホラーより怖い現実――『たたりちゃん』犬木加奈子が描く“異常なリアル”【『サバイバー』インタビュー後編】
80年代~90年代、『不思議のたたりちゃん』や『不気田くん』を筆頭に、名作ホラー漫画を多数生み出した犬木加奈子さん。そんな犬木さんは現在、児童虐待をテーマにした『サバイバー~破壊される子供たち~』(まんが王国)を連載中だ。かつてはたたりちゃんと同じ小学生、そして現在は最新作の加虐親と同世代となったいちファンが、ホラー全盛期から現在の活動までをファン目線で聞いた。
――『サバイバー』の反響はどうでしょうか?
犬木加奈子さん(以下、犬木) わたしは大学で漫画の講義をしていますが、その教え子から、「お母さんが『この漫画に出てくるような、ご飯を詰め込んで吐いてしまう子どもを見たことがある。様子がおかしかったから、あの子はもしかしたら虐待を受けていたのかもしれない』と言っていた」と聞きました。それ以外では、わたしのところには感想などは届きませんねえ。言葉にするのが憚られるというか、ヘタなことを言えないのかもしれないですね。
担当編集 サイト上のコメント欄(まんがレポ)には読者からコメントを書いていただいていますが、「面白かった」という表現が使いづらいのかもしれませんね。外部でのインタビュー記事には、おのおのの考えを綴った多くのコメントがついていたので、問題提起的に反響はあったのかなと思いました。
犬木 一番最初にインタビューを受けたとき、「この漫画は、『面白い』と言っていいのか、難しいですよね」と言われて、「ん?」と思ったんですよ。わたしは一応漫画家なので、漫画は本来、「面白くなければいけない」というのが大前提にあるんです。だから、漫画として面白いと思ってもらわなければいけないし、学生たちにも「『ははは』と笑うだけが“面白い”じゃないからね」と教えています。でも、現実をテーマにして、実際に事件が立て続いていて、良識のある人は「面白い」と言うには口が重くなっちゃいますよね。