「ジャニーズの対応はマネできない!」コロナによる自粛要請にエンタメ業界が阿鼻叫喚
EXILEやPerfumeのドームライブ中止が発表されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大により、多くのコンサートやイベントが中止に追い込まれ、コンサート業界が揺れている。そこで今回は、匿名を条件に、新型コロナウイルス対応真っ只中の関係各位が「生の声」を聞かせてくれた。
政府は25日、大規模イベント開催の必要性を改めて検討するよう求めるよう発表。その後すぐに声明を出したのはジャニーズ事務所だった。3月9日までの間に所属グループが出演する公演の延期及び中止を決定し、その迅速な対応にはファンからも一定の評価を受けているようだ。しかし、政府発表の内容が曖昧な基準だったため、多くのアーティストやコンサート関係者からは不安の声が上がっていた。
さらに翌26日、政府はコンサートなどの大規模イベントについて、今後2週間の「自粛」を呼びかけると、前述のPerfume(東京ドーム)とEXILE(京セラドーム)の公演が当日にも関わらず中止すると発表される。その後も、2月末〜3月上旬に開催予定の米津玄師やL’Arc-en-Cielらの公演はじめ、続々とイベントの中止、延期が発表されている状況だ。
一方、ガールズファッションの祭典『東京ガールズコレクション2020 SPRING/SUMMER』は「無観客開催(イベントを生配信)」を発表するなど、措置はさまざまだが規模の大小を問わず、イベント開催者は対応を迫られている。
「現場は混乱しています。刻一刻と状況が変わるので、そもそも現場のスピードに上の判断が追いついてないんです。政府発表の前から『被害が拡大しているのにイベントを行っていいのか?』という懸念は業界内に漂っていました。どうにか決行したい上層部と、戸惑っている現場の温度差も感じましたし、大きいレコード会社や芸能事務所がどういう対応をするか、様子をうかがいあっている感じもありました。とにかく前例がないので、“コロナが発生した場合のリスク”と“損害のリスク”を天秤にかけながら決断しあぐねているうちに、今回の自粛要請が出た。なので結局、中止や延期などの判断もギリギリになってしまったのです」(レコード会社関係者)
では、イベント中止による損失は、どのくらいの規模になるのだろうか。某イベント制作会社の関係者は具体的な数字を教えてくれた。
「イベント中止による損失度合いは、公演の規模によってさまざまで、一概には言えませんが、単純に考えても会場代は丸々赤字ですよね。いま僕が担当している案件も、すでに一本延期になっているのですが、1500万円ぐらいの売り上げが来期に吹っ飛びました(苦笑)。体力のある大きなイベント会社ならまだしも、小さな会社なら倒産の可能性もあるかと思われます」(イベント制作会社関係者)
イベント中止の損害はそのまま主催者を直撃してしまう。主催者側が加入している“興行中止保険(イベント中止保険)”に注目が集まっているものの、今回のようなケースによる中止は前例がないため、保険によって補填される可能性は極めて低いとのこと。
「興行中止保険は事前の打ち合わせによって補償内容を決定する場合がほとんどなので、今回のような“事前に想定されてない”ケースには無力です。それならと延期しようにも、オリンピックが控えているので、使用できる会場も限られているため、“中止”にせざるを得ない。ジャニーズが延期発表と同時に振替公演の発表までしたのは本当にすごいと思いました。ウチではとてもマネできないですね」(芸能事務所スタッフ)
また、コンサートグッズに関しても中国の会社や工場で作られるものが多いため、新型コロナウイルスの影響で停止している工場も多く、生産が間に合っていない、あるいは出来上がっても届かないという話もあるという。
政府発表だと“2週間の自粛要請”だが、今後も感染拡大が続く可能性もあり、先行きが見えない状況だ。こんなとき、アーティストに対してファンはどうしたらいいのだろうか。ネットで配信されているコンテンツデータを購入するなどして「課金で応援しよう!」という声もSNS上では見られるが……。
「もちろん、そういったアクションもうれしいのですが、今は何よりも“不急の問い合わせ”は控えてほしいですね。現在、カスタマーセンターはどこもパンク状態。チケットの払い戻し情報など、公式サイトに目を通せばわかるような問い合わせが殺到する今の状況は、正直こちらも消耗するばかりです」(イベント制作会社関係者)
まだまだ混乱は続きそうだが、アーティストや主催者たちも必死に対応していることを念頭に置き、ファンの側も今は落ち着いて行動するべきかもしれない。