インタビュー

コクミンドラッグ「マスクと高額商品」抱き合わせ商法は「違法」か? 弁護士が「ゲス」と一刀両断

2020/02/20 17:20
サイゾーウーマン編集部
らびっこさんによる写真ACからの写真

 新型コロナウイルスの感染拡大により、全国的に「マスク不足」が叫ばれる中、2月20日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が、薬局チェーン大手「コクミンドラッグ」の悪質な“抱き合わせ販売”について報じた。

 同誌によると、2月上旬から、中国人客の多い店舗で、「500円程度のマスクを強壮剤や化粧品などとあわせて9000円前後で販売」していたとのこと。しかし、日本人客にも誤って抱き合わせ販売をしてしまい、クレーム騒動になり、取りやめになったと伝えている。

 運営会社のコクミンは、公式サイト上で、この報道に対し、「2020年2月、当社の運営するコクミンドラッグのお客様からのご指摘により、一部店舗において、マスクを購入されるお客様に対して誤解を招く恐れのある販売方法を行っていたことが確認されました。当該事案が発覚後、すみやかにこのような販売方法の中止を店舗に通達しております」と謝罪文を発表した。

 コクミンドラッグのマスク需要の高さを利用した抱き合わせ販売に対して、ネット上には「こんな企業あり得ない」「モラルがない」「ひどすぎる」といった怒りの声が噴出。中には、「これって違法じゃないの?」と販売方法に疑問を抱くコメントも散見される。そこで今回、山岸純法律事務所の山岸純弁護士に見解をお聞きした。

コクミンドラッグの販売方法は「ゲスと言っていい」

 一般的に「抱き合わせ販売」とは、ある商品を販売する際、ほかの商品もセットで購入させる商法を指し、「これ自体は販売手法としてよくある話」と山岸氏。


 しかし、コクミンドラッグの抱き合わせ販売に関しては、「ゲスと言っていいレベル」と率直な感想を述べる。「マンガやドラマの世界に出てくるような悪徳業者のやり方。法律違反どうのこうの前に、まず世論によって完膚なきまでに批判されるべきでしょう」という。

「独占禁止法では『相手方に対し、不当に商品又は役務の供給に併せて他の商品又は役務を自己又は自己の指定する事業者から購入させ、その他自己又は自己の指定する事業者と取引をするように強制すること』を『不公正な取引方法』としており、このような場合、違法となります」

 不当かどうかについては、「1.業者の本来的な競争が阻害されるかどうか」「2.価格や品質やサービス力で勝負するのではなく、抱き合わせる商品で、買い手の購買意欲を引きつけているかどうか」「3.買い手が自由に、買うか買わないかを自主的に判断できるような状況かどうか」を検討することになるそうだ。

「今回の場合、マスクという、現状多くの人が求めてやまない商品に対し、そんなに売れないような高額商品を抱き合わせており、その業者側の意図も明らかですから、『不当』となることでしょう。この場合、罰則や課徴金の対象にはなりませんが、業者名が公表されたり、商売の改善を命ずる排除措置命令という厳しい行政処分が出ることも考えられます」

 今回、「中国人客を対象」にしていたというのも、悪質度が高いと見る向きがあるが、「国籍は関係ありません。ただし今、特に中国の方に、新型コロナウイルスの被害が広まっていることを考えると、業者側には『中国人にマスクのニーズが高い』という抱き合わせ販売の動機があったわけです。これにより違法性は高まることでしょう」という。


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