しまむら苦戦、「しまパト」も困難に? 「ユニクロを参考に」停滞を打破するための4つの検討
――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!
しまむらの苦戦が続いています。苦戦とは言っても、連結決算で売上高5000億円台をキープしていますし、営業利益も200億円台の黒字ですので、急に倒産したり経営破綻したりという危険性は皆無です。しかしながら、今までのような大幅な業績拡大は見込めず、連結決算では2期連続の減収減益になるため、停滞ムードが漂っています。
今回は、そんなしまむらが再成長するための方策について、考えてみたいと思います。そもそも、それを思いつけるほどの力があるなら、筆者はもっとアパレル業界で成功していると思うのですが(笑)。再成長をめぐる議論の一つの“ネタ”として読んでもらえれば幸いです。
しまむらの売りは「売り切れ御免」の販売方法だった
しまむらの強みとは本来、「割安でそこそこの品質」という商品を仕入れて、販売するところにありました。これが評価され、その昔は各ローカルエリアで地元の主婦に支持を集めて、業績を拡大。現在もしまむらに「主婦の店」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
では、「割安でそこそこの品質」の商品をどうやって手配しているのかというと、アパレルメーカー各社の「不良在庫」を安値で引き取っているのです。
これは今はやりの言葉で言うと「オフプライスストア」、もっと通俗的な言い方をすると「バッタ屋」に近しい業態と言えるでしょう。メーカー側は、毎シーズン決まったデザイン、決まった数量の商品を生産するわけではありませんから、不良在庫としてしまむらに供給できる商品は、デザインも数量もバラバラ。必然的に、商品はその時限りで、補充追加ができないため、「売り切れ御免」という販売方法になります。具体的に言うと、メーカー側は「今年の春はトレーナーが余ったけど、秋はセーターが余った」といった具合なので、それを引き取る側のしまむらで買い物をする際は、「このトレーナーは、今後入荷されないので、今このタイミングで買うしかない」となるわけです。
この売り方は何も珍しいわけでもなく、斬新だったわけでもありません。各地方の低価格専門店は、しまむらに限らず、軒並みこの手法を使っていました。筆者の実家がある奈良県には「ファッションプラザおかだ」という地元チェーン店があります。チェーンと言っても4店舗しかありませんが。ここもしまむら同様に、メーカーの在庫を安く仕入れ、安価で販売しており、バブル崩壊直後には少しだけ地元メディアで話題になっていたものの、その後、急成長はしませんでした。
全国的には無名ですが、ビジネスモデルはしまむらとほぼ同じだと言え、いまだに地元ではかなりの愛用者がいるようです。