カルチャー
ギャンブル依存症問題を考える会・田中紀子氏インタビュー
元依存者がギャンブル業界の“矛盾”解説――IR、厚労省「ギャンブル依存症対策」の“まやかし”
2020/02/24 21:00
――ギャンブルだけでなく、依存症に対するマスメディアの取り上げ方に思うことはありますか?
田中 依存症に対するネガティブなスティグマ(烙印)をメディアが植え付けすぎていますね。回復した、立ち直って社会に復帰していく姿を映さないで、問題を起こした時のスキャンダラスなところしか映さない。だから、こんな人たちと一緒だと思われたくないと自助グループや医療機関に行くことに抵抗ができてしまう。
また、そもそもメディアに取り上げられる依存は「違法薬物依存」が多いですよね。ギャンブルは巨大産業ですから、スポンサーでもある産業に忖度して負の側面である依存症にはあまり触れられないわけです。一方、違法薬物は「産業」ではないから叩きやすい。
――酒もギャンブルも、ゲームや動画などネットのさまざまなコンテンツも、民放メディアにおいて重要なスポンサーですね。
田中 だから違法薬物がスケープゴート的に叩かれているところもあるんです。処方薬や市販薬の依存の方がよっぽど違法薬物の依存より多いんですが、そこは叩かれないんです。製薬産業ですから。
――そうした産業の発展を追い求める一方で、依存に陥った人のフォローに関しては野放し。そういう意味では依存って、個人の問題ではなく、社会の問題ですね。
田中 だから本当にものすごく依存症って、大変なんですよ。
(解説:田中紀子 取材・文:石徹白未亜)
最終更新:2020/02/24 21:00