コラム
仁科友里の女子アナ論

田中みな実と弘中綾香……「女子アナという肩書」を踏み台にする、新時代のオンナたち

2020/01/02 21:00
仁科友里(ライター)

 テレビ朝日の女子アナとして初のランキング1位を獲得するという快挙を成し遂げた、弘中綾香アナウンサー。「かわいい顔をして毒舌」が好評で、2019年4月には、『激レアさんを連れてきた。』で共演中のオードリー・若林正恭が出演する他局のラジオ番組『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)に出演するなど、異例の待遇をテレビ朝日から受けており、どれだけ期待されているかがわかろうというもの。同8月には、とうとう『オールナイトニッポン0(ZERO)』(同)で一人パーソナリティーにも挑戦した弘中アナだが、田中アナ同様、「キー局の女子アナ」という肩書を踏み台にしているように見える。しかし彼女は、この放送で、その毒舌は芸人がいてこそ光ること、さらにステップアップにはまだまだ早いことを露呈させてしまったのではないか。

 同番組の水曜日パーソナリティーを務めているのは、『ゴッドタン』(テレビ東京系)などの人気番組を手がけたテレビ東京・プロデューサーの佐久間宣行氏。その佐久間氏に対し、弘中アナは「テレビ東京のすごいプロデューサーなのか知らないですけど、はっきり言ってただのオジサンですよね」と発言したのだ。ラジオで、ほかのパーソナリティーを公然と貶める“サービス毒舌”はつきものだが、今のご時世、こういうセクハラと疑われるような、紛らわしい毒舌は避けた方が賢明ではないだろうか(余談だが、「子どもができたら、(ママとかお母さんではなく)綾ちゃんと呼ばれたい」という発言もしており、「そうですか」としか言いようがなかった)。以前から「夢は革命家」と公言している弘中アナ。快進撃は当分続きそうだが、弘中アナが革命を起こすには、もう少し修行が必要なのかもしれない。

 なお、ランキングには入っていなかったが、今後注目度が上がりそうなのが、フジテレビ・久代萌美アナ。彼女もまた、「キー局の女子アナ」をバネにできるような素質を持っていると感じた。『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、社会学者の古市憲寿に「パーティーが好きらしい」と指摘されていたが(別にパーティーに行くのは本人の自由だと思うが)、「週刊文春」(文藝春秋)にキャッチされた彼女の交際相手は6歳年下の人気ユーチューバー。YouTubeの歴史が浅いゆえに、将来性は未知数だが、大化けして富豪になる可能性もないとは言えない。交際がダメになったら、「ダメ恋愛」としてバラエティーで話せばいいし、交際相手が成功したり、結婚すれば美談になる。どっちに転んでも、従来の女子アナらしからぬ仕事を得られそうと言えるだろう。

一方で、技術を磨く女子アナも高支持

 弘中アナや田中アナなど、「スタジオで原稿を読む」という従来の女子アナの定義でくくれない人がランキング上位にあらわれる一方で、フリーの有働由美子アナ、テレビ朝日・大下容子アナ、テレビ東京・大江麻里子アナなど、しっかりしたアナウンス技術を持って、ニュースを伝えるベテラン勢も高い評価を得ている。

 その昔、女子アナ30歳定年説という言葉を聞いたことがあったが(文字通り、女子アナは30歳になると仕事がなくなるという意味である)、アナウンサーという職に徹して技術を磨きベテランになっても信頼を得るか、アナウンサーという肩書を武器として若くして別の世界に飛び立つかすれば、その説は打破できるのではないか。今後の女子アナ界は二極化していくのかもしれない。

仁科友里(ライター)

1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)、『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

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最終更新:2020/01/02 21:00
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