コラム
仁科友里の女子アナ論

田中みな実と弘中綾香……「女子アナという肩書」を踏み台にする、新時代のオンナたち

2020/01/02 21:00
仁科友里(ライター)
『Sincerely yours…』(宝島社)

オンナの花形職業として羨望を集める存在ゆえか、何かと穿った見方をされがちな女子アナ。そんな彼女たちをウォッチし続けるライター・仁科友里が、2019年の女子アナトピックに考察を繰り広げます。

 オリコンが主催する年末恒例行事「好きな女性アナウンサーランキング」。2019年度版にランクインした女子アナは、前年と多少顔ぶれが変わっていたが、これを見て思い出したのが、とある元ミス日本の言葉である。

 数年前、『マジか!その後の人生~あの栄光を掴んだ21人!今を大追跡SP~』(テレビ東京系)を見ていた際、ミス日本受賞後にミュージカル女優になった女性が登場し、ミス日本という肩書について「便利」というような意味の発言をしていた。履歴書に「ミス日本」と書くと、オーディションの際に審査員が必ず興味を持ってくれるから、助かるのだという。

 ということは、ミス日本になるのは最終目標ではなく、一種のアピールポイントを獲得することなのだろう。「好きな女性アナウンサーランキング」を見ていると、女子アナの世界でも「女子アナという肩書を足掛かりに」好きなことに近づくというパターンが増えてきているのではないかと感じる。

 例えば、同ランキングで2位に輝いた田中みな実アナ。元TBSアナウンサーだが、現在はアナウンサーというより、美のカリスマとして女性誌に欠かせない存在となり、女優業にも進出している。セクシーショットも含まれている初の写真集『Sincerely yours…』(宝島社)は、発売前から10万部の重版が決定するなど絶好調。もはやアナウンサーというより、人気女優といった風格だ。

 もともと彼女はアナウンサーより、こういう芸能人の方が向いているように私には感じられる。TBSで顔と名前を売り、フリーとなった後は、バラエティーで“病みキャラ”“あざといキャラ”として自身の存在を世間に浸透させ、そして、満を持しての写真集や女優デビュー。ホップ・ステップ・ジャンプという三段跳びがあるが、キー局の女子アナ・フリーアナ・女優といった具合に、まず「キー局の女子アナ」という肩書をバネに、「本当に好きな分野」に進出するのは、今後当たり前のことになるのかもしれない。

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