2020年新春、「買うべき福袋」3選! 一方で「買わない方がいい福袋」の新基準は?
では一方で、買わない方がいい福袋を見極める基準はあるのだろうか。恩田氏いわく、昔の福袋は、「売れ残りの商品を何でもかんでも詰めているように思われ、本当に、開けてみないと何が入っているかわからなかったんです。SサイズのスカートとLサイズのコートが一緒に入っているなんてこともありました」というが、恩田氏が高校生だった1982年、西武池袋本店で購入した1万円の「紳士服福袋」は、すでに内容的に満足できるものだったそうだ。
「ちょうど、西武ライオンズが初の日本一に輝いた年で、福袋にはニコルのダブルのスーツが入っていました。一世風靡セピアが『前略、道の上より』で着ていたみたいなスーツで、高校生にはミスマッチだったため、誰かに譲ってしまいましたが、当時『いまの福袋ってこんなにいいものが入ってるんだ!』と驚いた記憶があります。最近は、SNS時代ですから、ヘタな福袋を販売すると、写真付きで一気に拡散され、百貨店のイメージダウンにつながってしまいますし、『あからさまなハズレ福袋』は“ない”と言えるでしょう。そう考えると、買わない方がいい福袋は、『自分のこだわりが強い分野のもの』。先ほど紹介した『GINZAのOL福袋』も、品物自体はいいものの、ファッションにこだわりが強い人だと、『好みじゃないから着ない』となってしまいます」
また、恩田氏は、福袋戦線で肝に銘じた方がいいポイントについても言及する。
「個数の少ない限定品にこだわって行列に並ぶと、時間を取られて、ほかの目玉福袋を買いそびれてしまうことがあります。そういった福袋の行列は、殺伐とした空気が漂っていて、以前取材した際、『長時間並んでいたのに、整理券をもらえなかった』というお客さんに、つかみかかられそうになったことも(笑)。なので、『楽しくお買い物したい』という人に、少ない個数の限定品を狙うことはオススメできませんね。特に百貨店は、従業員がバックヤードにさがってお会計を行うケースが珍しくなく、時間を取られてしまう面があります。少数の限定品を狙うと、そういったロスにも足を引っ張られるので、最初から個数が多く、買いやすい福袋を狙う方がいいのではないかと思います」
さらに以前は、「食品福袋は数が多いから、先に洋服の福袋を購入した方がいい」という鉄則があったものの、「最近、食品福袋のお得度が高いと知れ渡ってしまったゆえに、その作戦だと、目玉の食品福袋を買いそびれる危険も」と恩田氏。
「近年、福袋販売時の食品売り場は、人でごった返すようになっています。テレビ取材のカメラが入るのもはばかられるくらいの混雑ぶりです。食品福袋は、洋服の福袋に比べて人気がないという認識もあらためてほしいですね」
恩田氏のアドバイスを参考に、ぜひ満足できる福袋をゲットしてほしいものだ。
恩田ひさとし(おんだ・ひさとし)
フリーライター。ホームページ「福袋研究会」管理人。上智大学外国語学部卒業。予備校講師、出版社の編集者を経て執筆業に。教育、スポーツ、メディア、ITなど、幅広い分野で執筆活動を展開中。
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