シャーリーズ・セロン、「あまりに壮絶」と同情集まる――「アルコール依存症&DVの父を母が殺害」の過去
続いて当日のことを回想。「銃を手に持って帰宅した父は、歩くこともままならないほど泥酔していた。寝室にいた母と私は、父が寝室に入ってこられないようにと、必死でドアに背中を押しつけた。父はドアを押し開けようとしていたのだけど、ふと一歩、後ずさりする音がして。直後、私たちが押さえていたドアに向かって銃を3発撃ったの。母と私に1発も命中しなかったのは奇跡としか言いようがないわ。でも、母はその時に、この脅威を終わらせたの。正当防衛でね」と淡々と語った。
日常的に暴力を受けていた母親は、このままだとシャーリーズも殺されると思い、自分のバッグの中に入れていた拳銃を取り出して父親を銃殺。地元警察は、父親がアルコール依存症でDVしていたことを知っていたため、母親は正当防衛が認められ、殺人罪などで起訴はされなかった。
シャーリーズは、「DVについて、私はたくさんの人と経験を共有するようにしている。別に恥じていないし、話せば話すほど、『こんなひどい目に遭っているのは自分だけじゃないんだ』と気づいてくれる人が増えるから」とも述べていた。
しかし、17年に別のラジオ番組に出演した際は、母親が正当防衛で父親を殺害してからしばらくは「何も起きなかったふりをした。誰にも話さなかったし、話したくなかったし。聞かれたら『パパは交通事故で死んだ』と答えていた」と告白。「誰もこんな話はしたくない。それに、聞かされた人だって反応に困るでしょう? 被害者扱いされるのも嫌だったし。本当に何年も苦しんで、最終的にセラピーを受けるようになったの。20代後半~30代初め頃だったかな」と、セラピーにより気持ちが楽になったことを明かした。
また、「実は、父の死はトラウマになってないのよ。トラウマになっているのは、依存症の人がいる家の中で目を覚まし、『今日は何が起きるんだろう』『今日はお酒を飲むのかな』とおびえていた子ども時代の経験。このトラウマは、大人になった今も自分に影響を与えてるわ」とも激白していた。
そんな彼女を命がけで守ってくれた母親とは固い絆で結ばれているよう。11年にトーク番組に出演した際、2歳の頃、彼女がプールで溺れるた際に母親が服を着たまま飛び込んで助けてくれたエピソードについて話が及ぶと、「母親として本当に素晴らしい人なの。『夫を正当防衛で殺害した人』という目でしか見られないけど、何度も私の命を助けてくれたのよ。自身は毒母に育てられたのに、私には愛を注いでくれた、母親として最高の女性」と、心からの賛美を送っていた。
アルコール依存症の父から暴力的支配を受け、逃げ場のない家庭で15年も暮らした経験があるからこそ、シャーリーは人間の奥底に潜む闇や、矛盾した感情などを表現できるのかもしれない。