海外
父が殺されたことより、怯えていたことの方がトラウマ

シャーリーズ・セロン、「あまりに壮絶」と同情集まる――「アルコール依存症&DVの父を母が殺害」の過去

2019/12/20 20:48
堀川樹里(ライター)
何度聞いても壮絶なエピソード

 連続殺人鬼を熱演した『モンスター』(2003)や、世界初のセクハラ訴訟を起こした女性を情熱的に演じた『スタンドアップ』(05)など、華やかなハリウッド女優が敬遠するようなアクの強い役を引き受け、巧みに表現するシャーリーズ・セロン。

 米FOXニュースで実際に起きたセクハラ騒動を描いた新作映画『スキャンダル』(本日12月20日から全米公開、日本公開は2月21日)では、同局の売れっ子キャスターだったメーガン・ケリーを演じた。メーガンは、昨年移籍先の米NBCニュースで人接差別を擁護するような発言をしたとして批判を浴び、番組が打ち切りとなるなど、論議を呼ぶ人物であることから、「一筋縄ではいかぬメーガン役を引き受けたのは、やっぱりシャーリーズだったか」「徹底的に役作りのできるシャーリーズが、どこまでメーガンに近づけるのか楽しみ」と注目が集まっている。

 そんなシャーリーズが『スキャンダル』のプロモーションのために受けた米ラジオ局「NPR」のインタビューで、彼女を語る上では欠かせない「15歳の時に、家庭内暴力を振るっていた父親を母親が正当防衛で殺害した」事件を回想。ネット上では「何度聞いても、鳥肌が立つ」「あまりに壮絶な体験」と同情を集めている。

 シャーリーズは今回のインタビューで、映画の題材であるセクハラについてや、アパルトヘイト政策が残る南アフリカ共和国で生まれ育ったことについて話した。その流れで家族について話が及んだのだが、初めに「父はとても病的な人だった。私は、アルコール依存症だった父しか知らない。生まれた時からずっと依存症だったから……本当に絶望的な状況で、私たち家族はその絶望から抜け出せずにいたの」と、酒におぼれた父親が母親に日常的に暴力を振るう家庭で育ったのだと説明。

「依存症の人との予測不可能な日常を送っていると、これが普通なんだと耐性ができてしまう。そのトラウマは体の中に深く入り込み、死ぬまでずっと持ち続けることになる。(母が父を殺害した)一夜の、一度だけの出来事がトラウマの原因じゃない」「私の家族は信じられないくらい不健康だった。(略)問題の根本にきちんと向き合わないと、不幸なことが起きてしまうのよね」と述べ、父だけでなく共依存だった家族にも問題があったことを示唆した。

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