「花粉を水に変えるマスク」「豊胸術」「ダイエットサプリ」今年、消費者を“ダマした”悪質商品
「つけ込む」といえば、消費者の容姿等への劣等感につけ込み、安全性の保証されていない機器や施術を購入させる「コンプレックス商法」と呼ばれる悪質商法があります。代表的なものに医療脱毛、脂肪吸引、二重まぶた手術などの「美容医療トラブル」があり、全国の消費生活センターには毎年、2,000件前後の苦情相談が寄せられています。うち8割が女性からの相談で、今春には、厚生労働省が豊胸術について注意を呼び掛けています。
問題となっているのは胸に注入する「充填剤」で、厚労省によると「長期安全性が不明確な充填剤が患者に使用される可能性がある」とのことで、安全性が証明されるまでは「非吸収性充填剤を豊胸目的に注入することは実施するべきではない」と強く訴えています。しかし、医師が個人輸入して患者に使用することは許されているとのこと。朝日新聞デジタルの記事内にある専門家のコメントによると「日本は実験場」といわれているとのことで、怖いですね。
「コンプレックス商法」は女性だけの問題ではなく、男性の包茎手術や薄毛治療でも深刻な問題が起こっています。不要な手術で勃起不全や壊死など深刻な医療ミスも報告されています。コンプレックスを煽り、必要ない施術を行う自由診療悪質商法にはご用心くださいね。
ダイエットサプリ「ケトジェンヌ」は前代未聞の問題
とはいえ、容姿へのコンプレックスを解消するのは難しいですよね。気軽にサプリで豊胸や痩身できるなら、「ダメもと」でも試してみたいもの。そんな思いをかなえるような謳い文句で販売されている健康食品について、健康被害の苦情相談も急増しました。今年5月には、女性ホルモンに似た作用を持つ成分が含まれるとされる「プエラリア・ミリフィカ」等4つの成分について、「特別の注意を要する成分」と厚生労働省が指定しています。
そして消費者庁は今年9月、ダイエットサプリ「ケトジェンヌ」を使用した消費者への身体被害について消費者安全法に基づく公表を実施しました。健康食品に関して、消費者安全法に基づき事業者名を公表し注意喚起を行ったのは今回が初めてです。しかも、「『ケトジェンヌ』を使用する場合は、身体被害が生じ得ることに御留意ください」と、消費者庁はかつてないほど強い表現を用いて注意を呼びかけていて、問題の深刻さを感じさせます。
消費者庁による「ケトジェンヌ」への注意喚起が発表された日、販売業者のe.Cycleは「事故情報は製品の販売実績の1000分の1の件数、通常の量をのむことは問題ない」と公表しました。販売する食品の1000分の1に健康被害が報告されているなら、とても食品安全性上「問題ない」とはいえないはずですが。また同社は、製造工場が「公益財団法人日本健康栄養食品協会が定めたGMP認定制度に適合」していることから、「お客様に安心して召し上がっていただけるものと考えております」と安全性に問題ないと反論していました。