元極妻が考える「反社会的勢力」の定義――ワルモノがいないと、警察の予算がつかない?
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
政府が「反社会的勢力の定義は困難」と閣議決定
「政府が反社会的勢力の定義ができないことについて、どう思われます?」
編集者さんから聞かれました。政府として「反社会的勢力の定義は困難」と閣議決定した件ですね。
「桜を見る会にハンシャ(反社会的勢力のことです)が出席してたって言われても、それがハンシャかどうかはわかんないし」的な言い逃れのようです。これについては、「今までの企業の契約とかのハンシャ条項はどうしてくれるんだ」という批判も噴出しているんですね。
まあマジレスしちゃうと、もともとの定義も、たしかに「社会情勢に応じて変化」しています。ハンシャについて定義したのは、2007年の法務省の「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が最初だといわれています。
これには、「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人である『反社会的勢力』をとらえるに際しては、暴力団、暴力団関係企業、総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等といった属性要件に着目するとともに、暴力的な要求行為、法的な責任を超えた不当な要求といった行為要件にも着目することが重要である」とあります。
なんか死語が満載ですよね。総会屋も今はいないでしょうし、さらに「社会運動標ぼうゴロ」の意味がわかる人も、あんまりいないんじゃないですかね。そもそも「ゴロ」がわかんないですよね。ゴロとは「ごろつき」のことなんですが、いまどき「ごろつき」も言わないですよね。
ちなみに「社会運動標ぼうゴロ」とは、いわゆる「エセ同和」(これも死語)とかで、「人権」をタテに恐喝とかしてくる系です。これもめっきり減りましたねえ。また、「政治活動標ぼうゴロ」とは、大音量の街宣車でやってくるアレです。これも政治的なことを言っているけど、ほんとはお金が欲しいだけで、お金を払えば解決します。さらに「特殊知能暴力集団」となったら、もう全然わからないですよね。これは株のインサイダー取引とか高度なお金もうけをヤクザとつるんでやってる人たちです。株や法律の知識がないとできないので、こんな名称のようです。こういう人たちは、たしかに外見もほぼ映画に出てくるヤクザみたいでした。
そして、この法務省の定義には、半グレやオレオレ詐欺グループは入っていません。やはり当時の社会情勢に応じているのだと思います。いいか悪いかは別にして、要するに、ワルモノかどうかはいつの時代もおかみが決めるんですよ。