カルチャー
インタビュー

我が子を“ブラック部活”から救うために――保護者と顧問が「定時帰宅を徹底」するべき理由

2019/12/20 21:00
佐藤真琴(編集・ライター)

――学校側が止めても、顧問や部員たちが“自主的な練習”として活動をしてしまう「闇部活」もあると聞きます。

内田 “部活動の練習”として認めると問題があるので、朝や放課後の練習を“自主練”として、学校に届けず活動をする部活もあるようです。しかしこの「闇部活」、とても恐ろしい問題をはらんでいます。“自主練”といっても生徒だけで行うわけではなく、顧問の先生が個人的に引率したり、保護者が付き添ったりするでしょう。しかし、どちらにしても「学校が認めた活動」ではありませんから、何かトラブルが起きた場合に、責任の所在が曖昧になってしまいます。

 「闇部活」中に子どもが大ケガをした、練習場所として借りていた施設を破損した、学校の楽器を運んでいたら落として壊した……そんな時、一体誰が責任を取るのでしょうか? こうした問題が起こる可能性について、顧問・保護者の認識が非常に甘い。近所の友だち同士で勝手に遊んでいるのとは状況がまったく異なりますから、思わぬトラブルに巻き込まれかねません。

――「練習のやりすぎ」をなくすためには、まず大会やイベントが多すぎる「大会のやりすぎ」問題を解決する必要がありそうです。

内田 まさにそうですね。今の部活は、練習試合、大会、地域の交流会など、年に何度も大会やコンクールなどがあります。もしかしたら、社会人より忙しいかもしれません。しかし、大会の数自体を減らすという動きは、実はほとんど起こっていない。例えば吹奏楽部なら、コンクールには参加せず、地域の行事や学内演奏会などの活動をメインにする選択肢があってもいいはずなのに、ほとんどの学校が複数のコンクールを中心にして、1年のスケジュールを組んでいます。大人になったら、スポーツも音楽も“趣味”として楽しみながらやっていますよね。勝利や高みを目指して大会を目標とする活動のほかに、学生でも「趣味として楽しむ部活」という観点があってもいいのではないでしょうか。

――では逆に、「たくさん練習したくても、ガイドラインがあってできない子ども」に対し、顧問や親はどうしてあげるべきなのでしょうか。

内田 「がんばりたい子」のフォローは、部活改革の重要な課題です。ひとつの方法としては、民間のクラブなどに入って、そこで練習をすることが考えられます。誰よりもうまくなりたい、プロを目指したいという子どもに、質の良い指導を受けさせることもできるでしょう。あくまで部活の中で、ということなら、「長い時間練習すれば上達する」という考え方を変える必要があります。例えば、週3日の練習で最大のパフォーマンスを引き出すためにはどうしたらいいか、顧問と生徒が頭を使って考え、密度・濃度の高い練習にシフトしていくのです。週3日のみ活動を行う部活が集まって、年に1回だけ大会を開催するというのもありでしょう。

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