カルチャー
海外遠征オタク談義【前編】

不法就労を疑われ、ペンライトで赤っ恥――それでも「行かなくては」! オタクが“海外遠征”する理由

2019/12/26 14:30
佐藤真琴(編集・ライター)

――海外遠征でハードルになることって、なんだと思いますか?

カナコさん 問題は“お金と時間”ですよね、あと“体力”。これをそろえることが、最低限の条件ですかね?

しんいちさん そりゃ、アマゾンの奥地へ行くとなれば話は別でしょうけど、都市部ならパスポートとお金、スマートフォンさえ持っていたら、なんとかなりますよね。今は航空券やホテルの手配も、すべてインターネットでできますし、そういった点でも気軽に海外へ行けるようになったと思います。

カナコさん 遠征する人って、もともと“旅行”に対するハードルが低いような気もします。なので、結構すぐに「あ、海外でもなんとかなるわ」って気づくのではないでしょうか(笑)。

――体力が必要ということになると、「だいたいこのくらいの年齢が海外遠征オタクの限界」と考えたりしますか?

しんいちさん 明確な年齢は考えてないですね。体力とお金が続く限りは、海外までFC東京を追いかけると思います。「行かなくてはならないのなら、必ず行く」という気持ちなので。

カナコさん 私も年齢のことはあまり考えないんですが、さすがに若いときに比べると、体力に“陰り”が見え始めてます(笑)。周囲に迷惑をかけずに、見苦しくない感じで続けていければいいな、と思ってますね。若い人ばかりのイベントは、さすがにちょっと遠慮しようかな……という感じですが。

「海外まで行く必要あるのか」という声には……

――ちなみに、お二人がこれまでに行った遠征の中で、一番お金を使ったのはどんな現場ですか?

しんいちさん 僕はやっぱり、最初に行ったイギリスです。2週間近く行っていたこともあり、30~40万くらいかかりましたね。まだ20歳そこそこの頃だったので、かなり頑張ってためました。でも、今考えたら結構安く済んでると思います。主な目的はサッカー観戦だから、スタジアムへ行って、ごはんを食べて帰ってくるだけなので、そんなにお金使わなかったのかな(笑)。このときもそうですが、基本的に遠征へ行ってもお土産は買わないんです。

カナコさん 私はサイン会のために、同じCDを何枚も買ったときですね。グループにもよりますが、そのときは韓国への旅費込みで30~50万くらい使ったかな。ちなみに、私もお土産は買わないですね。韓国によく行く友達が多いので、必要ないんですよ。「虚礼廃止しよう」ってことで、みんなで一斉にやめました。

――趣味に使う金額としては結構高額だと思うのですが、ご家族や職場の人からツッコまれたりしませんか?

しんいちさん それこそお土産を買う羽目になるので、僕は家族にも職場にも何も言わずに遠征へ行ってます(笑)。

カナコさん 私は家族にも職場の人にも恵まれていて、夫と一緒にソウルのコンサートに行ったこともあります。オタクなことを周囲に隠さないほうが、協力してもらいやすいですし、楽だと思いますよ。

しんいちさん 正直、周りが海外遠征するオタクばっかりなので、何かツッコまれること自体がないかも。もし「海外まで行く必要ある?」とか言われても、それはその人の価値観なので「僕は行くけどね~」で終わりです(笑)。

カナコさん K-POPファンからしたら、せっかく海外の人を好きになったのに、その人を取り巻く環境や文化を直接体験しに行きたいと思わないほうが不思議。もちろん、事情があって海外遠征に行けない友人もいますけど、K-POPファンで海外遠征に否定的な人が少ないからか、仲間内で「あの人変だよね」みたいな空気になることもないですよ。

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