元極妻が考える今後の山口組抗争――札幌の“車両特攻”は「号砲」だった?
今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
神戸山口組二次団体の会長宅にワゴン車が突っ込む
12月13日の事始めまで1カ月を切ったところで、札幌で車両特攻事件が起こりましたね。神戸山口組の二次団体・五龍会の会長宅の車庫にワゴン車が突っ込んだそうです。
報道によると、11月19日の朝、対立関係にある六代目山口組の三次団体・福島連合の関係者がワゴン車でバックで突っ込み、車庫でスコップを振り回して暴れていたそうです。車庫内の車のフロントガラスが割られ、建物の窓ガラスには鉄パイプが刺さっていたようですが、会長などにはケガはなかったようです。現行犯逮捕された時は拳銃なども持っておらず、逮捕容疑は建造物損壊の疑いだけでした。
そして、すぐに福島連合に家宅捜索が入っています。ちなみに家宅捜索を「ガサ」または「ガサ入れ」といいますが、これは「家捜し」(サガしを逆から読んでガサ)から来ているそうですよ(豆知識)。
今後は車両特攻や火炎瓶投てきが増加?
六代目山口組の高山清司若頭の出所が10月18日でしたから、ちょうど1カ月後の特攻でした。背景には、六代目山口組と神戸山口組の対立があるのは間違いないでしょう。
建造物損壊罪(最高刑で5年以下の懲役、刑法第260条)なら、殺人や暴行傷害などよりも罪が軽くて若い衆も嫌がらないので、わりと常套手段といえます。運転席のドアが壊れて出られなくならないように、バックで突っ込むのですが、エアバッグも膨らんじゃいます。
とはいえ暴対法施行(1992年)前くらいまでの車両特攻といえば、ワゴン車じゃなくてショベルカーとかでしたし、制止に来たパトカーを引きずって発砲されたりもしているので、だいぶ時代は変わりましたね。
若頭が出所する直前の10月10日に神戸山口組の中核組織・山健組の事務所前で2人が射殺されて、六代目山口組の司忍組長の出身母体である弘道会の関係者が逮捕されていますが、それ以降は目立った動きはなかったので、マスコミ的には今回の車両特攻が「抗争への号砲かっ?」となってますが、どうでしょうね。
長い懲役の間に、所属する組がなくなっているかも
このまま大抗争には至らず、なんとなく車両特攻や、同じく罪があまり重くない火炎瓶投てきが続く気もします。火炎瓶を誰もいない車庫などに投げた場合、非現住建造物等放火罪なら「懲役2年以上」(刑法109条)ですが、組織犯罪対策法などが絡まなければ、そんなに長い懲役にはならないと思います。
やはり最近は重罰化が進んでいますから、若い衆も殺人はやりたがらないのです。10月10日の事件もヒットマンは「闘病中の68歳」でしたしね。それに、この暴排の世の中では、長い懲役に行っている間に所属する組がなくなっているかもしれません。以前なら「長い懲役に行って出世する」のが俠(おとこ)の花道と言われたものですが、そんな時代ではなくなってしまいました。元極妻の私が言うことでもないのですが、今は、抗争は意味がないと思います。