【最も怖いホラー映画・10選】米メディア絶賛! 『ゴースト・ストーリーズ』ほか(前編)
日本ではお盆のある暑い夏に背筋が凍るようなホラー映画を見るのが定番となっているが、欧米では一昔前まで、夜が長くなってくるハロウィンから冬にかけて見るのが定番だった。現在では季節に関係なくホラー映画が公開されるようになり、ここ数年は空前のホラー映画ブームが到来。今年はホラー映画の当たり年ともいわれている。
今年最も話題になった作品は、8月に全米公開された『IT/THE END “それ”が見えたら、終わり。』。日本でも今月1日から全国公開され、8日には前作の『IT/イット“それ”が見えたら、終わり。』(17)が、日本テレビ系『金曜ロードSHOW!』にて地上波初放送となった。R-15に該当するシーンは編集されたものの、「日本でもとうとうR指定ホラーが地上波で放送される時代が来たのか!」とホラー映画ファンを喜ばせた。
一口にホラーといっても、サイコスリラー系、幽霊系、殺人鬼系、モンスター系、ゾンビ系、ドール(人形)ホラーなど、ジャンルが細かく分かれている。画で恐怖を植え付けるスプラッタものや、反対に精神的に怖がらせるものもあり、実に奥が深いジャンルなのだ。
今回はアメリカのカルチャーサイトのランキングを参考に、「最も怖いホラー映画」10作を選出した。なお、誰もが知る往年の名作ホラーがランキング上位を占めることもあり、今回は2015年以降に公開されたものを対象とした。
最も怖いホラー映画1:『ブレア・ウィッチ』(16)
20年前に6万ドル(約650万円)という低予算で制作された、ホラーの名作『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)。「ブレアの魔女(ブレア・ウィッチ)伝説を検証するために森に入った学生3人。彼らが消息を絶ってから1年後に森の中で発見された、恐怖の映像の数々を編集した」という設定で撮影されたモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)ホラーの先駆けであり、撮影者と鑑賞者が同じ視点を持つPOV(Point of view)という手法も相まって世界的な大ヒットとなった。翌年『ブレアウィッチ2』(00)が公開されたが、正統な続編は16年公開の『ブレア・ウィッチ』である。
『ブレア・ウィッチ』は、「前作で消息を絶った学生の弟が、姉を捜すために森に入る」ところから始まり、ドローンやGPSなどの最新機器を使いながら、森に挑む姿を追う。本作も臨場感あふれるPOVモキュメンタリーだが、はてしなく続く暗闇が舞台であることから恐怖度はアップ。POVならではの手ブレは前回以上に激しく、突然驚かせるお化け屋敷的な描写も多い。
ホラー映画の多くがそうであるように“評価は賛否両論”だが、米カルチャーサイト「Vanity Fair」などが、「ノンフィクションかフィクションかわからない状態だった『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』よりも確実に怖さは増している」と評価。アメリカのホラージャンル専門サイトの「Bloody Disgusting」は「本作品はホラー界に革命を起こした」と絶賛し、「2016年度ベスト・ホラー映画」に選出した。
最も怖いホラー映画2:『死霊館 エンフィールド事件』(16)
実在するアメリカの心霊研究家ウォーレン夫妻が、実際に扱った事件を描く大ヒットシリーズ『死霊館』(13)の2作目。手がけるのはサイコスリラー/ホラーのヒットメーカー、ジェームズ・ワン監督。ウォーレン夫妻も、前作同様、感情豊かな演技が売りのヴェラ・ファーミガとパトリック・ウィルソンが演じている。役者は演技派ぞろいで、老人の霊に憑依された子役の演技力は抜群。
『死霊館 エンフィールド事件』の舞台は、1977年のロンドン近郊の街。「史上最長期間続いたポルターガイスト現象」として有名なエンフィールド事件の、身の毛もよだつような怪奇現象の数々を描いている。シリーズとしては、前回よりも人間ドラマがしっかりと描かれているため、絶望感や恐怖感が一層味わえる。
大手映画批評サイト「ロッテン・トマト」では、批評家支持率80%、観客支持率81%と、高く評価されている。米業界紙「Hollywood Reporter」は、「前作も素晴らしかったが、本作はさらにレベルを上げてきた」と監督を大絶賛。多数のスピンオフ作品を持つが、シリーズの中でも最高傑作だという声が多い。