「保育士が1年で5人退職」「子どもが情緒不安定に」ママ友LINEを騒がせた、保育園の一大事
今や日常生活において、かかせないツールとなっているコミュニケーションアプリ「LINE」。かつては子どもの送迎時に、ママたちが立ち話をしているような光景が見かけられたが、時間に追われ忙しく過ごす共働き世帯が増えた今、ママたちのコミュニケーションの場は、LINEのグループチャットになっているという。そんな、ママたちの「グループチャット」から浮き彫りになった、彼女たちの悩みや、苦悩、気になる話題を覗いてみる。
新聞やニュースなどでたびたび取りざたされている「保育士不足問題」。シフト制のため自由に休みが取りづらく、残業や持ち帰りの作業も多いといい、離職率が高いのだそうだ。一方で、保育士の相次ぐ退職は「不都合ばかりが生じる」と、子どもを預ける側のママの悩みの種にもなっているという。
奈々子さん(仮名)は、2歳になる女児を都内にある認可保育園に通わせている。この保育園は、1年前に認証から認可に移行した園だという。
「認可に移行したものの、基本的には、0歳児クラスからのお友達と一緒にそのまま園に残ることができました。ただ、保育士さんの入れ替わりが激しく、動揺しています……」
彼女は、それまで見てもらっていた保育士にも残ってもらいたかったが、さまざまな理由で退職していったと語る。
「認証では、入園にあたり、保育園と保護者が直接契約を結ぶため、園長が入園希望の子どもと保護者を、一人ひとり面接していたんです。しかし、認可になると、直接契約ではなくなるので、これまであまり園にはいなかったような……例えば、すぐ手が出てしまうような気性の荒い子どもなども入園してきて、保育士さんが対応に困るようになったみたいで。また、保育士さん1人で見なければいけない子どもの数が増えたため、それが負担になったのか、退職者が続出してしまいました」
同園のママ友とのグループチャットは、一時期その話題で持ちきりだったという。
「認可に移行して1カ月で1名、3カ月でまた1名と、1年で5名も保育士さんが辞めていきましたね。うちのクラスの担任を持っていた20代の保育士さんも急に辞めてしまって、ママ友とのチャットは大騒ぎに。結局、ほかのクラスを受け持っていたベテラン女性保育士が、代わりに担任になったのですが、副担任が男性保育士さんだとわかると、またチャットがザワつきました。2歳児はまだおむつ替えの必要があり、またトイレトレーニングの真っ最中なので、『男性保育士にちょっと抵抗を感じる』『低年齢クラスを受け持つとは思わなかったね』と、漏らすママが出てきたんです。園や本人に対しては言えないので、チャットで気持ちを共有していました」
また、奈々子さんの娘と同じクラスの男児の中には、早生まれのため、自分の気持ちを言葉で表すのがまだうまくできないという子もいたという。彼は、急な担任の変更に戸惑い、毎朝「登園拒否」を繰り返しているそうだ。
「朝になって、子どもを自転車に乗せようとすると『いやー、いやだ』と泣いてぐずるそうです。その子は、指をしゃぶる癖がまだ抜けなかったといいますが、よく見ると爪を噛んでいて、爪がズタボロになっていたとも聞きました」
ママ友から、「息子がぐずっているのだけれど、どうしよう」というような相談メッセージがたまに送られてくると、奈々子さんは言う。
「また年内に1人保育士を辞めそうなんですよね……。子どもの中には、保育士さんを『もう一人のお母さん』のようにとらえてる子もいます。そんな子にとって、慕っていた保育士さんが突然いなくなるというのは、大きなストレスになるのでは。『担任が変わった』という事情をうまく飲み込めず、じっと椅子に座っていられなくなったり、大声を出すようになったり、情緒が不安定になる子も実際にいるんですよ。年齢が上がれば、そういう傾向はなくなるかもしれないのですが、まずは保育士を辞めない職場環境を作ってもらいたいです」