コラム
知られざる女子刑務所ライフ77

元女囚が「獄中で反省なんてムリ」と言うワケ――恨みやイジメが渦巻くムショの現実

2019/11/03 16:00
中野瑠美

 西山さんも菅谷さんも、いじめられて根に持つことはないんでしょうかね。優しそうですよね。

 獄中ではほかに考えることがないので、とにかくいろんな人を恨みます。私を犯罪に巻き込んだアイツ、パクった(逮捕した)刑事、起訴した検事、有罪にした裁判官、私を捨てた恋人や家族、同房のいじめっこ、意地悪な刑務官……などなど、数えたらキリがないです。

 特に刑務官は、ええ人ほど早く辞めて、えこひいきしてる懲役とツルんでイヤキチ(意地悪)する局(つぼね)みたいのは、いつまでもいてます。シャバと変わらないです。こういうストレスって、獄中ではなかなか解消できないんです。家族に手紙を書いたり、本を読んで気持ちが収まればいいんですが、それができない人もいてます。

 そうなると、普通は弱い者いじめになるんですが、たまに「八つ当たり」みたいな事件もあります。先日のニュースで、検事さんに獄中から「死ぬほど、後悔させてやるぞ」とか手紙を書いていた元懲役がパクられた、と出ていましたね。

 この人は、出所後の逮捕で、またムショに逆戻りなわけですが、「手紙って、刑務所が中身を確認しないの?」ちゅう疑問が出ると思います。ま、普通はチェックしてる(はず)なんですが、とにかく数が多いんで、ようチェックできひんというのがホンマのところと思います。今回も、思わず見落としたのと違いますかね。私がいた施設はめちゃくちゃチェックが厳しかったのですが、手紙のチェック漏れによる(らしい)脅迫事件は、たまに報道されてるんですね。

 でも、実はめくれて(発覚して)ないだけで、けっこう起こってるかもしれません。それもこれも、ムショの処遇が厳しすぎて、「犯した罪を反省する場」になってないことが原因かなと思います。

 この夏の激暑でも、お風呂はほぼ一日おきで、蒸し暑い空気をかき回す扇風機だけですから、「悔い改めよ」ゆうてもムリなんです。「罪人のくせに何をゼータクな。図々しい」と思われるかもしれませんが、結局反省しないままでは、出所してもまた事件を起こすでしょう。そして、次は自分や自分の大切な人が犠牲になるかもしれません。それでも、ええですか?

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)」

※この連載が本になりました!
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最終更新:2019/11/03 16:00
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