元女囚が「獄中で反省なんてムリ」と言うワケ――恨みやイジメが渦巻くムショの現実
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
「取り調べ弱者」ってご存じ?
私の住む大阪では、今回は大きな被害はなかったのですが、台風もホンマこわいですね。心よりお見舞い申し上げます。
さて、以前もちょっと書かせていただいてましたが、患者さん殺害の疑いで懲役12年の刑を受けて服役していた元看護助手の西山美香さんの無罪が確定しましたね。ホンマによかったと思います。この西山さんとは、ムショが同じでした。服役中の精神鑑定で軽度知的障害と発達障害が判明したそうですが、なんちゅうか、ムショでも浮世離れした感じでしたね。
私は、それほど接点はなかったのですが、前科もないはずなのに仮釈放もなかったから、不器用やったのと違うかなあと。布団の上げ下げとか、言われたことがスピーディーにできない感じですよね。こういう人は、たいていイジメに遭います。居心地はサイアクやったと思います。
後に冤罪とわかる足利事件の菅谷利和さんも、同房者にめちゃくちゃいじめられていたそうです。まあ女子だと、さすがに肋骨を折ったり、ウン○を食べさせたりするのはないですが、獄中(なか)は気が弱い人には向いてない世界です。
無罪の会見で、西山さんは「数字を20までしか数えられない」と言ってました。「就職に不利だから隠していた」のだそうです。でも、すべてカミングアウトして、「取り調べで事実を話せず、刑事さんの“逆ハニートラップ”に引っかかって、刑事さんが喜ぶようなことを言った」と明かしたこともあって無罪となったんですね。こんなおぼこい女の子を騙す刑事さんはサイテーですが、こういう「取り調べ弱者」がわりといることを知ってほしいと思いました。