中学受験に向く子、5つのタイプーー「授業中いつも叱られていた小学生」が最難関に合格したワケ
ここで、一例を挙げてみよう。現在中学1年生の悟君(仮名)は、小学校ではいわゆる“浮きこぼれ”であったという。本人いわく、小学生時代は2と5に当てはまる子であったらしい。
しかし、彼は「自分は何をやっても、授業中に叱られていた」と小学校5~6年当時を語ってくれた。要するに「暗算で解いてはダメ」「習っていない漢字を使ってはダメ」「問題ができたからといって、勝手に次に進んではダメ」という担任の先生の「ダメダメ攻撃」にあっていたのだそうだ。
「おとなしくしていれば、先生は文句を言わないので、自分は仕方なく、時間潰しで本を読んでいました。先生から『ガリ勉』って言われていたんですが、その意味を知らないクラスの子が『勉=便』と勘違いしたみたいで、一時『うんこ!』って呼ばれていたことも。もちろん、嫌でしたけど、『こんなところにはいられない』って思って、受験勉強にかなり身が入りましたね(笑)」
無事に今年、最難関と呼ばれる中高一貫校に入った悟君は、笑顔で学校生活について教えてくれた。
「もう学校はパラダイスですよ。何より、話の合う仲間ばかりですし、学校が『勉強したい奴はトコトンやればいい、別に勉強じゃなくてもいい、やりたいことをやりたいだけやれ!』っていうような校風なんで、本当に楽です」
悟君のように、中学受験に向いている子もいるし、一方で当然ながら、向かない子もいるのは事実。中学受験を受ける「12歳」という年齢は、成長度合いに個人差がありすぎる年ごろだ。もちろん、興味のベクトルも、その子、その子によって違う。
それなのに、同じ学年だというだけで、同じ枠にはめられて、凄まじいスピードで学習せざるを得ないのが中学受験の一面でもある。その中で、否応なく序列が付き、評価されるので、小学生の時代に早くも自信や興味をくじかれてしまう子もたくさんいるのだ。
精神的にも、体力的にも成長が追い付いていない子にとって、中学受験は、逆に不利益になりかねないということを、親は知っておかねばならない。物事にはタイミングがあり、それには個人差があるということだ。もちろん、成長が早いから偉いとか勝ち組であるということにはならない。
「12歳の中学受験か? 15歳の高校受験か?」は悩ましい問題ではあるが、親は我が子をよく見て、中学受験に参入する前に「我が子の向き・不向き」を見極めてほしいと思っている。
(鳥居りんこ)