『ザ・ノンフィクション』語学はネットでググっても習得できない「ここがわたしの居場所~海を渡った熱血教師と教え子の涙~」
一方で、ルンルンの日本語はもうすでに「おおむねオーケー」ではないのか、とも思う。もちろん、ルンルンは日本語教室で働く以上、さらなる高みを目指す必要があるだろう。しかし「語学で食べていく」、もしくは「その地で正社員としてバリバリ働く」のでなければ、このくらいしゃべれればもういいのではないかとも思う。
というのも、私自身昨年フィリピンに英語の語学留学に行き、それ自体はとてもいい経験だったのだが、英語の「前置詞」「冠詞(a/the)」「複数形」「時制」につくづくうんざりさせられたからだ。これらは日本語ではなじみの薄い概念で、外国人にとっての「ん」のようなものだ。前置詞をこなせば冠詞を忘れる、というように、この4つがすべてきれいに着地できずいつも添削されていた。
旅行者の会話やSNSのつぶやきレベルなら、見逃してやってくれやしないかと思う。多くの大人が外国語習得で挫折するのは、大人になったのに、箸の上げ下ろしのようなことまであれこれ言われるツラさに耐えきれないからだろう。根性が足りないと言われれば、その通りなのだが。
世界中どこにいても(英語圏でない場所でも)、当たり前のように英語で話す英語圏の人はいる。「ミス・ユニバース世界大会」で過去に、ベトナム代表が質問に笑ってうなずくだけで返答しないことを、「わからないのにわかるフリをしていて可愛い」と、米国代表がからかい、大炎上したことがあった。たまたま生まれた国が英語圏だっただけなのに、非英語圏の人間が英語を学ぶためにかけた時間や苦労を知ろうともせず、単に思い上がっているだけに思える。
私は英語に苦労しているので、日本語を学ぶ外国人に優しくありたいと思うが、そうではない人も、残念ながらいるのだ。
次週の『ザ・ノンフィクション』は『親になろうとしてごめんなさい~目黒・結愛ちゃん虐待死事件~』。目黒区内のアパートで義父からの虐待の末に亡くなった船戸結愛ちゃん。5歳の女の子に暴力を続けた船戸雄大被告は、彼を知る人からは「学校一バスケがうまかった」「サークルのリーダー的存在」「同期の盛り上げ役」という声も上がる。雄大被告の実像とは?
石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂
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