軽減税率、駆け込み購入はお得じゃない!? 増税後に“得する”買い物術をFPが解説
――一部の品目に軽減税率が適用されるとはいえ、増税による家計の負担を少しでも軽くするために、増税前に購入した方がいいものはありますか?
浅田 今回の消費増税では、19年10月~20年6月の9カ月間、届出済みの中小・小規模商店で対象商品をキャッシュレス決済した場合、支払額の“2%または5%”のポイント還元が受けられることになっているので、慌てて無駄な出費を増やすよりも、ポイント還元などを狙った方がお得かもしれません。大手ECサイト「Amazon」「楽天市場」「Yahoo!ショッピング」の3社も、一部の商品を除き決済金額の5%分に相当する金額を還元するということなので、こちらを活用するとお得だと思いますよ。
例えば、増税後に、1万円の商品を購入した場合、税込みで1万1,000円となり、これまで1万800円で購入できたものが、200円も高くなります。しかし、5%還元となる店で購入すれば、550円分のポイント還元(1万1,000円の5%)を受けられるので、実質1万450円の支出になり、つまり増税前より350円“安く”購入できたことになります。
このように、増税後に購入した方がお得になるケースもあるので、駆け込み購入をするよりも、還元制度の情報を十分に収集して、自分の欲しい商品や、利用する店舗が、還元の対象かどうかなど、じっくり見極めることが先決だと思います。その点を踏まえても、増税前に購入をオススメする商品は、「ポイント還元の対象にならず、高額で値崩れしにくい」ブランド家電や語学学校の回数券、通勤定期ぐらいではないでしょうか。
大手家電量販店などはポイント還元の“対象外店舗”ではあるものの、消費者の買い控えを懸念して、秋口にセールを行う店舗もあるでしょうし、電化製品などモデルチェンジのあるものは、型落ちすると安くなります。そういった場合は、増税後の方がお得になる可能性も高いと思うので、購入先や購入時期を検討すると失敗しづらいかもしれませんね。
※現在、経済産業省の公式ホームページでポイント還元対象店舗を確認することができる。また、公式のキャッシュレス還元マップも提供される。今後、キャンペーンの対象店舗は、「還元率」「利用可能決済方法」が一目でわかる経済産業省発行のポスターを張り出す予定。
利用額の2%ポイント還元 | 利用額の5%ポイント還元 |
コンビニ、外食、ガソリンスタンドなど フランチャイズチェーン等の一部店舗 |
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――増税後に損することなく生活するには、どのような点に気を付けたらいいでしょうか?
浅田 増税のように、自分の裁量ではどうにもできない支出が増えるからこそ、家計管理が大切になります。今回の増税をきっかけに、家計簿アプリやポイント制度などを上手に活用し、家計を見直すといいかもしれません。我慢しすぎず、「今月は服を買いすぎたから、交際費を抑えよう」などメリハリをつけたりしながら、限られた収入の中で確実に貯金するクセをつけることをオススメします。
(文=千葉こころ)
浅田里花(あさだ・りか)
1959年、兵庫県生まれ。 82年同志社大学文学部卒業後、日興證券(現SMBC日興証券)に入社。88年独立系FP会社(株)エムエムアイに入社し、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。93年に独立し、生活者対象のファイナンシャル・プランニングを担当するほか、執筆、講演活動もこなす。現在、FP会社㈱生活設計塾クルー取締役。日本FP協会会員CFP(サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー)一級FP技能士。著書に、『知ってトクする生命保険と個人年金の上手な掛け方選び方』(日本実業出版社)などがある。