「吉本興業騒動」は報じても、反社会的勢力と“閣僚”の関係はスルーする日本のメディア
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
山梨・道志村のキャンプ場で小学1年生の女子が行方不明になっている。天候も不安定で、すでに不明から4日目となり心配だ。そして、あのスーパーボランティアが出動してくれないものかと思う。2018年8月、山口県で3日間発見されなかった2歳の男児を30分で見つけ出した尾畠春夫さん。彼ならきっと――。
第476回(9/19〜9/24発売号より)
1位「あれから2か月――『吉本お家騒動』主役3人の意外な現状!」(「週刊女性」10月8日号)
2位「滝沢改革に若きジャニーズたちの“悲鳴”」(「週刊女性」10月8日号)
3位「LGBTそれぞれのカタチ」(「週刊女性」10月8日号)
女性セブンは合併号休み
結局、何も変わらず、今ではすっかり忘れ去られたかのような吉本興業騒動。たった2カ月前のことなのに。そんな中、「週刊女性」が雨上がり決死隊・宮迫博之、ロンドンブーツ1号2号・田村亮、極楽とんぼ・加藤浩次の“今”を報じている。
まず「体制が変わらないなら僕は吉本を辞める」と啖呵を切った加藤だが、専属エージェント契約を交わし吉本に残るらしい。まあ、加藤クラスならエージェント契約もいいかもしれないが、この契約に関しても、いまだいくつもの問題が指摘されている。いいのか、それで加藤!? というところだが、結局は元の鞘に収まった形か。そして田村は相方・淳のバックアップもあり、そのうち吉本に戻るってよ! さらに宮迫はボランティア活動に従事し、復帰は未定。とはいえ、そのうち巷間報じられているように明石家さんまの個人事務所に行くんだろうな。
あの騒動はなんだったのか、といった現状だが、“今”になってこの騒動を振り返ると、虚無感に襲われる。どうしても先日行われた第4次安倍第2次改造内閣と、その直後から噴出した閣僚と反社会的勢力との関係を比較してしまうから。
なにしろ出るわ出るわ。まずは国家公安委員長に就任した武田良太氏。指定暴力団山口組系の元組員とされる人物から政治資金パーティー代として合計120万円を受け取っていたと報じられた。全国警察組織を監督する立場である国家公安委員長が、だ。さらに岸田文雄自民党政調会長と山口組元幹部との“親密写真”が「フライデー」(講談社)に掲載される。そして田中和徳復興相は指定暴力団稲川会系組長が取締役を務める企業にパーティー券を買ってもらい、その組長の息子を秘書として雇用していたことも発覚!
それでもって、吉本と反社会的勢力の関係は大きな社会問題になったが、でも、でも、閣僚はなんのお咎めもなし。これを報じたのはすべて週刊誌系のメディアだが、報道番組やワイドショーはこれらをほとんど報じずスルーしたままだ。おかしいでしょ。
吉本所属の星田英利(ほっしゃん。)も〈これを問題にしないのだったら、吉本の芸人さんとの違いは?あれもOKってことなんだね?誰か教えて。〉とツイートしていたが、本当に誰か教えて欲しい。政権への忖度? 強いものには巻かれろ? 権力はやりたい放題?
ワイドショーにしても、吉本と反社会的勢力の問題を蒸し返しづらくなったのかも。「じゃあ、閣僚はどうなのか?」と言われたら、真っ青になるしかないからね。取り上げるにしても反社会的勢力の問題には触れず、単に“芸能界復帰”とか“絶望的”とか芸能ニュースに落とし込めるんだろう。
あぁ、なんだったのか、吉本興業問題。そう思わずにいられない、昨今の日本メディアと権力の“トホホな現状”だ。