少年犯罪や非行少女は他人事じゃない【刑務所のアイドルPaix2(ペペ)×元レディース・中村すえこ】
――すばらしいことですね。お2人は、歌手になる前に、別のお仕事をされていたんですよね。
Manami はい、私は大学の研究室にいて、Megumiは看護師でした。別々に「日本縦断カラオケ選抜歌謡祭」の鳥取大会に出場して、主催者から「デュオでやってみてはどうか」と声をかけられたんです。
――今のマネジャーさんですね。デビュー後は、地元のテレビやラジオに出演されて、「一日警察署長」も務められています。
Manami それで、署長さんから「歌がさわやかだから、刑務所で慰問をしてはどうか」と言われたんです。
――怖くなかったんですか?
Megumi 怖かったというより、最初は刑務所の雰囲気に圧倒されて、とても緊張しました。
Manami 今はだいぶ変わりましたけど、以前はみんな灰色の服装で、色のない世界だったんです。
Megumi 慰問の際、受刑者の皆さんに許されているのは、歌い終わった後の拍手だけ。それ以外は何もしてはいけないので、とても静かで。「私たちがコンサートして、本当によかったのかな」って落ち込みました。でも、あとで感想文をいただいて、「楽しかったんだ……」とわかりました。
中村 それが今では刑務所のアイドルですからね。ストーカーとか、怖い思いはしないんですか(笑)?
Manami・Megumi (2人同時に)今のところはないです(笑)。
Megumi 一般のライブの時に、物販コーナーに黙って1万円札を置いて立ち去っていく人がいて。慌てて追いかけると、「いや、何かの足しにしてください」と言って帰っていかれました。
――その方も、元受刑者さんなのでしょうね。
Megumi たぶんそうだと思います。
中村 でも、1万円札を置いていけるということは、出所後も生活できてるということですよね。
Manami そう思います。刑務所でもらう「作業報奨金」の封筒を、封を切らずに持ってきてくださった方もいらっしゃいます。さすがにいただけなくて、福祉施設に寄付させていただきました。
中村 報奨金はすごいですね(笑)。いろんな方に応援されているんですね。お2人が、お金が目当てじゃないって伝わっているんでしょうね。