高嶋ちさ子、「オンナにはみんなウラがある」の主張――「性別」で性格を決める不可思議
ここで疑問に思うのが、「オンナにはみんなウラがある」の“みんな”に高嶋自身は含まれているのかということである。
2017年放送の『しゃべくり007』(日本テレビ系)で、高嶋が夫とのなれそめについて、こんな話をしていたことがある。
高嶋と夫は合コンで知り合ったが、夫には交際している女性がいた。夫にその女性と結婚するつもりがあるのか尋ねると「ない」と答えたので、「結婚する気がないのに、引っ張るのはかわいそうだから、別れろ」「クリスマスまでに別れろ」とたきつけ、夫は素直にそれに従ったそうだ。そして、高嶋はめでたく彼女となった。
この方法、十分「ウラがある」と言っていいのではないだろうか。高嶋は夫の顔が大好きで、生まれて初めて自分から積極的にアプローチしたとも話していた。「ウラがある」と言われても、大勝負に出たい気持ちは、高嶋にも理解できるのではないだろうか。また、いくら高嶋に命令されたからと言って、それまで付き合っていた彼女をあっさり捨て、美人ヴァイオリニストとして名高い高嶋に乗り換えた夫だって、ウラがないとは言い切れないだろう。
つまり、「オンナはみんなウラがある」のでもなく、オトコもオンナもみんなウラがあるのだ。
「〇〇にはウラがある」と言う場合、「〇〇」の中に美人という単語を入れたくなる人もいるだろう。「美人には相手にされないかもしれない」とか「美人は高飛車」という恐れに由来する決めつけだと思われるが、ウラがあることと、外見に因果関係はない。美人だろうがブスだろうが、自分にとって大事なもの、人に渡したくないもの、死守したいものを前にしたとき、法律とその人の常識の範囲内で他人を出し抜くかどうかは個人の問題ではないだろうか。それに、社会人にもなって、ウラがなかったら、求められる仕事を全うできると私には思えない。
文化人枠からテレビの世界にやって来て、売れっ子になった高嶋。本業であるヴァイオリンのコンサートも満員御礼続きだそうだ。しかし、「好事魔多し」という諺もある。ウラのない人なんていないのだから、本当にシャレにならないだまされ方をしないように、お気をつけいただきたいものである。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。