「ジャニーさんお別れの会」嵐・櫻井翔のコメントに見る、美 少年をめぐるジュリー氏の思惑
ジャニー氏が存命中、ジャニーズJr.は年上から若手まで盛んに雑誌へ売り込まれていたが、美 少年だけは、ジャニー氏が世間の目に触れぬよう、“無菌状態”でしまい込んでいる印象があった。その一方、アメリカで開催されるイベントに唐突に参加するという、謎の企画も予定されていた。ジャニー氏の「みんなに見せたくないけど、見せたい」という思いを反映したような不思議な活動は、かつて寵愛を受け続け、コンサートは開催したことないのに、『NHK紅白歌合戦』には4年連続でねじこまれてきたNYCにも似たものに見えた。
しかし、ジャニー氏が亡くなってからというもの、アメリカのイベントに松本潤が同行したり、櫻井翔が美 少年・那須雄登との交流をテレビなどで語ったりと、嵐が全面的に美 少年をプッシュしているように見える。しかも、この売り方には、面白いことに「ジャニーイズム」と「ジュリーイズム」が見える。
かつて舞台『滝沢歌舞伎』の終演後に、入口でジャニー氏がスーツ姿のおじさんたちに「ところで、東京B少年というのがいましてね」と語る姿を見かけて、仰天したことがあった。『滝沢歌舞伎』の感想をまるで語らず、いきなり話したい本題から「ところで」と切り出す語り口は、いかにもジャニー氏らしい。今回の「お別れの会」における、櫻井の「5月に後輩の美 少年のコンサートを」という切り出し方にも、それに近い印象を受けた。
その一方で、2015年頃にジュリー管轄とされるV6・岡田准一やKAT-TUN・亀梨和也、関ジャニ∞・大倉忠義などが、唐突に「伊野尾、可愛い」を連呼し始めた、通称「伊野尾革命」にも似たものを感じる。先輩たちの口から語らせ、注目度を高めていくという手法が同じに見えるのだ。
そういえば、有名私立高校に通う那須雄登と浮所飛貴が所属する美 少年は、高学歴好きとウワサされる藤島ジュリー副社長のお好みにドンピシャかもしれない。ちなみに、いま大人気のグループ・King&Princeは、その商売のうまさと、所属するレコード会社も新たに立ち上げたレーベルであることからしても、ジャニーズの“本流”とは異なる別会社の色が強い。
だからこそ、ジュリー氏が考える「王道アイドル」路線として、嵐→Hey!SayJUMP→美 少年への道が着々と作られているのではないか。新たな綱の引っ張り合いが行われつつあるジャニーズ事務所の現状を「お別れの会」に見た気がした。
(南山ヒロミ)