【アラサー一人暮らし、理想の賃貸物件を探す】物件の「日当たり」は気にする必要ない!? もっと重要視すべきポイントは?
「引っ越しシーズン」といえば、新生活がスタートする春先を連想しがちだが、実はこれから“狙い目”な時期がやってくる。8~9月は転勤シーズンのため物件に空きが生まれ、10~12月中旬までは引っ越し業者が「閑散期」のため、費用が安く済むのだ。とはいえ、不動産サイトをのぞいても、素人目では“いい物件”の判断がつかない……。そこで、住居・防犯・風水のプロが「アラサー女性ひとり暮らし」に最適な部屋をジャッジ。“物件三銃士”が認める理想の住みかは見つかるのか――!?
部屋探しのコツとポイント! 物件三銃士から3つの助言
・「日当たり」よりも「風通し」を重要視せよ
・「洗濯物の室外干し」が危険な理由
・運気が上がるベストな「部屋の形」とは
<賃貸物件の場所>
・都心部から電車で15分、最寄り駅(特急も停車)から徒歩10分
・大通りから2本離れた小道にあり
・周辺は同じ高さの住居やビルに囲まれており、建物の間隔が狭い
<賃貸物件の詳細情報>
敷金なし/礼金1カ月分、鉄筋コンクリート、5階建/4階(9戸)、角部屋、管理人巡回、防犯カメラあり、ペット不可、オートロックあり、テレビモニター付きインターフォンあり、宅配ボックスあり、ゴミ出し24時間OK、都市ガス、階段・エレベーターあり、浴室乾燥機あり
物件を探すとき、どうしても気になるのが「日当たり」。部屋が北を向いていると、あまり日が入ってこないのはわかるのですが、じゃあどこを向いていればいいのかというと、素人には判断がつきません。それに、たとえ日当たりの良い方角を向いていたとしても、周辺に高い建物があったら、光が遮られてしまって意味がないなんてことも……? いったい何に注意して「日当たり」を考えればいいのか教えてください! また、この物件は窓が小さく、バルコニー側の窓が“すりガラス”になっています。防犯の面では安心かもしれませんが、大きい窓の方が換気もしやすいし、部屋が広々と感じられそう。「窓は大きいに越したことはない」ような気もしますが、一人暮らしに“ベストな窓”って、どんなものなのでしょうか。
「日当たり」よりも「風通し」を重視せよ! 「住居のプロ」評価 ★★★★☆
駅徒歩10分、特急停車駅で都心へ15分、防犯・設備・管理もしっかりしている角住戸なら、とてもバランスの良い物件と言えます。唯一の課題は、「日当たり面で妥協できるかどうか?」というところでしょうか。
日本人の多くは「日当たりの良い部屋」が好きで、特に“東南角住戸”が最も好まれる傾向にあります。しかし、アメリカ西海岸などの日射しの強い地域では、「日当たりの良い南向きの部屋は紫外線が強すぎる」という理由から、あえて家族団らんの場となるリビングを“北向き”に配置する住戸も多いようです。筆者自身も、家具の日焼けやお肌のシミ対策を考えて、“北向き”や“西向き”の住戸をあえて選んできました。実は“北向き”“西向き”の住戸というのは、“南向き”“東向き”の住戸と比べると、賃料の設定が安くなっていることが多いので、おトク感もあるのです。
また、働くシングル女性の生活サイクルを考えてみると、朝から仕事に出かけ、夜は日が沈んでから帰宅するのが一般的でしょうから、せっかく「日当たりの良い部屋」を選んでも、昼間はほぼ自宅に不在の状態。もちろん、たまの休日にポカポカとした日だまりの中でまったり過ごす楽しみはありますが、その時間を“自分の人生で最も大切な時間”として重視している方でなければ、「日当たりの良さ」の恩恵を受ける機会は、「ほとんどない」と言えるでしょう。
日当たりが悪いことで「洗濯物が乾きにくい」という懸念もあると思いますが、実は近年、防犯・防災と美観維持の理由などから、「洗濯物を外に干さないこと」というルールを設けた物件が、都心を中心に増えています。そもそも、女性の場合は「部屋干し派」や「夜干し派」が多いはずですから、この物件のように、夜でもカラっと乾燥できる「浴室乾燥機」があれば、洗濯物への心配はいらないと思われます。よって、働くシングル女性の住まいを選ぶのであれば、あまり「日当たり」については考えなくても良いのではないでしょうか?
1点だけ注意するべきは、「日当たり」と「風通し」は別だということ。日当たりの悪い部屋で風通しまで悪いと、カビや湿気が発生しやすくなるため、オススメできません。この物件の場合は南・西の2方向に窓があり、風通しの良さそうな角住戸のため、評価は高めです。
■「住居のプロ」福岡由美(ふくおか・ゆみ)
ライターエージェント、ヒューズ・エンタープライズ代表取締役。住宅ライター・住宅ローンアドバイザー・FP技能士・ ラジオ構成作家。大手生命保険会社で事務職に従事した後、 ラジオレポーターに転身し名古屋・ 東京の放送局で中継レポーターとして活躍。その後、 間取り好きが高じて住宅ライターとしての活動をスタート。 現在は東京・ 名古屋を拠点に全国で取材を行いながら住宅情報ウェブサイト等で コラム・レポートを執筆中。20年超の取材経験を生かし『女性のためのマンション購入セミナー』や『失敗しない家づくりセミナー』などの講師も務めている。
中日新聞「オピ・リーナ」ブログ『なごやのねたや福岡由美の名古屋ネタ帖』