コラム
女のための有名人深読み週報

フジテレビ社長に「女として好みのアナ」を質問――山崎夕貴が破った「女子アナの暗黙の了解」

2019/08/29 21:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
山崎夕貴アナウンサー公式プロフィールより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「女として、好みの女性アナウンサーは?」フジテレビ・山崎夕貴アナウンサー
『ダウンタウンなう』(フジテレビ系、8月23日)

 テレビ局が番組を放送することに意図があるとしたら、その一つは「視聴者に希望を与える」ことではないだろうか。

 『24時間テレビ 愛は地球を救う』(日本テレビ系)に対し、「感動ポルノ」という批判は昔からあるものの、ここまで続いているのは、やはり「希望を与えてくれる話」を求める視聴者が多数いると見ることもできる。

 そう考えると、ことバラエティーにおいて、視聴者が「希望を与えてくれる話」を求めているとすると、芸能人たちのぶっちゃけや自虐的な話に人気が集まるのも理解することができる。視聴者は「有名人でも、生活は一般人とたいして変わらないではないか」と共感し、「自分の生活」に希望を抱けるからだ。ただし、この方法は、リスクも伴う。例えば、マツコ・デラックスは『マツコ&有吉かりそめ天国』(テレビ朝日系)で、「ホテルのカレーは高い」と話していたが、「女性自身」(光文社)は、「マツコ ギャラが芸能界最高額に 30万円から4年で1本500万」と報じている。他人のギャラをどうやったら調べられるのか疑問だが、「マツコは庶民的だ、オレたちと同じだ」と信じていた人ほど、こういった高年収話を聞くと、アンチに回ってしまう可能性がある。

 ぶっちゃけや自虐というのは、行うのは簡単かもしれない。しかし、超えてはいけない一線、もしくは暗黙の了解というものがあるのではないだろうか。

 その一線を、8月23日放送の『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演した山崎夕貴アナは越してしまったように思えてならない。同番組のゲストは、フジテレビ新社長の遠藤龍之介氏。同局のエースアナウンサーである山崎アナが、聞きたいことを切り込んでいくという趣向だった。

 「若手の給料はどうにかならないか?」「社長はどれくらいもらっているのか?」というように、山崎アナは聞きにくいことを切り込んでいく。カネの話はタブーと上述したが、このように「給料が少ない」系の話であれば、「あんなに売れているアナウンサーも、給料が少ないんだ」とだまされてくれる視聴者はいるはずだから、OKだろう。

 私が度肝を抜かれたのは、山崎アナが「女として、好みの女子アナウンサーは?」と社長に聞いたこと、また「女性アナウンサーは社長に気に入られたいと思っている」と話していたこと。というのは、女子アナの暗黙の了解とは、「女として」見られていること、もしくは「女として」優れていることに、「気づいていないフリ」をすることだと思っていたからだ。

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