カルチャー
インタビュー

ゴミ清掃員・マシンガンズ滝沢氏が見た、タピオカブームの狂騒――ゴミ集積所が映し出す“東京の変遷”

2019/08/31 17:00
千葉こころ
マシンガンズ・滝沢秀一さん

  若者を中心に一大ブームとなっている「タピオカドリンク」。都内には、台湾から上陸した有名店の新店舗が続々とオープンし、連日行列を作っている状況で、SNS上には「#タピる」「#タピ活」といったハッシュタグとともに、“映える”タピオカドリンクの写真が並んでいる。しかし、味よりも容器や店舗の内装など“写真映え”が求められる風潮により、渋谷や原宿といった若者が集まる街では、タピオカが残ったままのドリンク容器が捨てられていることも珍しくなく、購入後のマナーが問題視され始めているようだ。そこで今回、お笑い芸人とゴミ清掃員、さらにはゴミ研究家の“三足のわらじ”を履いて活動を続ける、お笑いコンビ・マシンガンズの滝沢秀一さんに、“タピオカのゴミ”の現状をお聞きした。

ポイ捨てされたタピオカのゴミは“善意”で回収されている

――タピオカが大ブームになっていますが、ゴミ収集でタピオカの容器を目にすることは多いですか?

滝沢秀一さん(以下、滝沢) 住宅街のゴミ集積所では見かけることは少ないですが、繁華街ではよく目につきます。以前はコンビニや大手カフェチェーンの持ち帰り用ドリンク容器がよく捨てられていましたけど、最近はタピオカのゴミの方が多いですね。ここ数カ月の間で急激に増えたように感じますが、タピオカのゴミは、コーヒーのそれと違って、“中身が残ったまま”捨てられていることが多いんです。「何のために買うんだろう? おいしくないのかな?」って思いながら回収していますよ。

――中身入りで捨てられていると、ネズミやゴキブリなど害虫・害獣が集まってきそうですね……。

滝沢 繁華街のゴミ集積所はもともと汚いところが多いので、一概にタピオカの飲み残しが原因だとは言い切れないですが、住宅街と比べネズミやゴキブリが多いことは確かです。それに、繁華街のネズミは丸々太っている上に、人間慣れしているのか根性が据わっているんですよ! 僕らがゴミを回収していても、どかないどころか、目が合って“会釈”してきますからね。その後、のっそり移動するんですけど、振り返ってまた会釈。そんな後にゴキブリなんかが出てきても、「キャラ弱いな」くらいにしか感じません(笑)。

自販機専用のゴミ箱のフタを開け、放置されたタピオカ容器(東京都・世田谷区)

――大きいネズミが会釈……(笑)。植え込みの陰や階段の隅、自動販売機専用ゴミ箱など、都内では至る所で“放置タピオカ容器”を目にします。そのようなゴミは、誰が片付けているのでしょうか?

滝沢 ゴミ清掃員も拾える範囲で回収しますが、僕らの仕事は、あくまでも集積所に出された“地域住民”のゴミの回収すること。全ては到底無理です。ゴミ清掃員として回収作業をする時は、「汚れているプラスチック容器は可燃ゴミ」という分別方法に従い、そのままの状態で回収しているものの、本当は、「タピオカは可燃ゴミ」「プラスチック容器はきれいに洗い不燃ゴミ」と分別して捨てたいところ。ゴミ収集車のバケット部分(ゴミを投入するところ)へ、液体を入れてはいけないんですが、飲み残しを道に流すわけにもいかないのでゴミ清掃員も困っている状況です。自動販売機横の専用ゴミ箱にツッコまれた容器は、恐らく自販機補充員か回収業者さんが、街なかにポイ捨てされている容器に関しては、地域ボランティアの方などが“善意”で処理してくださっているのではないでしょうか。

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