コラム
女のための有名人深読み週報

とにかく明るい安村の「世間が不倫を許さない理由」に疑問――自ら「嫉妬買った」と語るリスク

2019/08/22 21:00
仁科友里

 この慣例から考えると、オトコ芸人である安村の復帰は比較的容易なはずだ。不倫をして、嫉妬を買い、干されたと本人は思っているようだが、実際の原因は別のところにあるのではないだろうか。安村と言えば、「安心してください、穿いてますよ」でブレークしたが、このネタだけで、芸能界を生き残っていくことはできないだろう。ネタの鮮度が薄れてきたことと、不倫騒動がほぼ同じタイミングで起こり、視聴者の反感を買うリスクを取ってまで、テレビが起用したい芸人ではなかったという可能性は捨てきれない。

 しかし、安村は「なぜ夫に不倫をしてほしくないかというと、自分(妻)も我慢しているからじゃないですか?」などと、あくまでも「不倫は全員がしたいもの」「だから、自分は嫉妬されてしまった」というスタンスを崩さない。どう解釈するかは本人の自由だが、人前で「嫉妬された」と言うときは、ある“条件”をクリアしていけなければ、自分の評判を落とすことになりかねないのではないだろうか。

 その“条件”とは、本業で何らかの結果を出していること。例えば、会社を解雇されたサラリーマンが、その理由を「嫉妬された」と言っても、聞かされた方はピンとこないし、場合によっては、人のせいにするクセのある性格だとみなされることもある。しかし、その後自分で会社を興したり、違う会社に行って結果を出せば、「能力があるから、嫉妬を買った」説は信ぴょう性が高くなり、応援してくれる人も増えるだろう。世の中に嫉妬があるかないかで言えば、確実にある。しかし、「嫉妬を買った」という言葉は、責任転嫁に聞こえることもあるので、簡単に口にしていい言葉ではないと私は思っている。慰める意味で他人に言うのはアリだが、いいオトナが公衆の面前で自分に使うには、リスクがありすぎるのではないだろうか。

 安村が今の状況を打破するために必要なのは、面白いネタを作ること。お子さんもいるのだから、家族のためにも、もうひと頑張りしてほしい。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。

最終更新:2019/08/22 21:00
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