【連載】スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコの“教祖様”注意報

心屋仁之助氏“公開カウンセリング”の異常性――「死んじゃえ!」「借金イエーイ!」と叫んで終了?

2019/08/21 21:00
黒猫ドラネコ

 誰にでも、心が弱ってしまう時はあります。救いを求める先が、信頼できる家族や友人ではないこともあるでしょう。「こうすれば幸せになる」と語りかける心理カウンセラー、スピリチュアリスト、霊能力者。彼らを見ていると、「私を救ってくれそう」「この人たちのようになれるかも」と、次第にそんな気持ちが膨らみ……ちょっと待って! それ、本当に信じて大丈夫? スピリチュアルウォッチャー・黒猫ドラネコが、無責任なことばかり言っている“教祖様”を、鋭い爪でひっかきます。

 芸能人や著名人御用達「Amebaブログ」の読者フォロー数20万人以上、プロフェッショナル部門ランキングで“常時1位”の人物をご存じですか? 子宮委員長はる、スピリチュアリストhappy、自称・卑弥呼の生まれ変わり天宮玲桜といった、怪しいスピリチュアル界隈ともつながりがある、心屋仁之助氏です。おなじみの“信者ビジネス”にハマる人は、高確率で「心屋カウンセリング」に心酔します。私が同氏を知ったのも、子宮委員長はるにハマった身内が、熱心に著書を読んでいたことからでした。それだけ、心屋氏の教えが怪しいスピリチュアル業界に浸透しているということです。

 小林麻耶さん、漫画家の浜田ブリトニーさんといった著名人のファンも多数いる心屋氏。そんな人が、虐待の連鎖に悩む相談者に「キミの娘さん 叩かれるために生まれてきたのよ」と自身のブログにつづった衝撃は忘れません。「流産は前世で自分が望んだ」とネットラジオで発信したのを知った時、私は自分のTwitterやブログで「こんなカウンセラーを信じていいのか」と、疑問を呈しました。その後、私と同じ疑問を持った人も声を上げ、炎上状態となったのですが、心屋氏はおそらく、それらの意見に対して「(自分を叩く人を)蹴散らして、ぶち殺してやる」と、ブログに絵文字付きで投稿。これにはさすがに恐怖を覚えました。

深刻な悩みを“イジって笑う”心屋仁之助氏

 そんな心屋氏について、このコラムの読者さんからご連絡をいただきました。「会員制カウンセリングの様子が怖い」という報告とともに、東京と京都で毎月行われている公開カウンセリング「Beトレ」の様子を収めたYouTubeのURLが貼られていました。調べたところ、心屋氏のホームページでは「心のおけいこの場。心理学の勉強会です」などと説明されており、いろいろなコースが設けられている様子。ちなみに、どれも年会費4~6万円の費用がかかるようです。

 3つ貼られていたURLのうち、1つ目は「子どもを死なせてしまった」という、50代女性による相談に、心屋氏が答える動画でした。長男が2歳の頃、生後2カ月の次男を亡くし、「そのことを引きずってあまり長男に愛情を注げなかったから、成人しても問題を起こすのだと考えてしまう」といった、かなり切実な内容です。これに対する心屋氏の結論は、「全部関係ない。次男が亡くなったことと(長男を)つなげるのはやめて」といったものでした。


心屋仁之助氏公開カウンセリングの異常性――「死んじゃえ!」「借金イエーイ!」と叫んで終了?の画像1
心屋仁之助【公開カウンセリング】『子供を死なせてしまった』より

 私がこの動画を見てまず気になったのは、会場の雰囲気。心屋氏はどこかのホールのステージ上を歩き回り、観客席から涙声で話す相談者に、「すべてはキミが悪いんだ」などと厳しい言葉をぶつけます。ホワイトボードに字を書きながら、相談者のネガティブ思考を笑い、「会場ザワザワしてるよ?」などとイジり、参加者たちを盛り上げているのです。相談者の深刻な悩みに対し、会場の雰囲気があまりにも陽気。そのギャップに強い違和感を覚えました。

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