カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「an・an」2019/08/21号

「an・an」SEX特集「深い愛を育む」というテーマを棒に振る、田中圭の「ヤンチャなエッチ観」

2019/08/14 14:00
島本有紀子

 最後に注目したのは、男性のアンダーへア事情。「気になるトピックを大調査!SEXムーブメント最新事情。」のページで紹介されていた、「ハイジ男子」が気になりました。

 アンダーへアをお手入れしている男性のことを表す言葉だそうで、社会学者の栗田宣義氏は「女性の発言力が強くなってきたことで(中略)とりわけ20~30代の男性は、“私も処理しているんだからあなたもやりなさいよ”という女性からの圧を受ける」と解説。誌面では、男性専門美容クリニックの「マタツルコース」(全5回14万円)が紹介されています。

 「マタツルコース」というネーミングのセンスにも驚きですが、女性が男性に除毛の圧をかけるという事例、少なくとも筆者は見たことがないので、「そんなのある?」と信じられない気持ちになりました。

 毛くらい、自分にとって快適がそうじゃないかでお手入れしてくれよ、と思ってしまいましたが、しかし、「女性が求めてるから……」と理由を”創作”せずには「マタツルコース」の申し込みに踏み切れないのも、男心なのかもしれません。

 エロやシモな世界は、常に現実と妄想の背中合わせで、自分の思い通りにはいくことがまずない。だからこそ“創作”とは縁が切れないのかもしれません。それは草食化が進んだ結果の、「ひとりの人と深い愛を育む」「愛あるセックス時代」の今、さらに複雑に結びついていくのかも……と考えさせられた2019年の「SEX特集」でした。
(島本有紀子)

最終更新:2019/08/14 14:00
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