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「PayPay」「LINE Pay」「楽天ペイ」って本当にお得で便利なの? “Suica派”成毛眞氏を直撃!

2019/08/09 13:00
サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman
「PayPay」公式サイトより

 10月1日の消費税率引き上げに伴い、キャッシュレス決済を行った場合、最大5%のポイント還元キャンペーンがスタートする。これは政府の「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)」によるもので、対象の店舗で電子マネーやクレジットカード、QR・バーコード決済など、現金を使わず支払いをした場合に適用される。

 このお得なキャンペーンを前に、近年「〇〇ペイ」と名前が付いた、QR・バーコード決済サービスが多数誕生している。2018年2月、「100億円あげちゃうキャンペーン」として、利用者全員に支払い額の20%を還元、抽選で全額キャッシュバックを行った「PayPay」を筆頭に、大手企業の子会社が運営する「LINE Pay」「楽天ペイ」、コンビニの名前を冠した「FamiPay」「7pay」など、その種類はさまざまだ。定期的にポイント還元を行うなどして、各社「〇〇ペイ」の普及に力を入れている。

 その一方で、ネット上では「なんちゃらペイが多すぎて、何を使ったらいいかわからない」という困惑の声も。7月1日にサービスがスタートしたばかりの「7pay」は、直後にハッキングの被害を受け、9月30日をもって“廃止”することを発表。セキュリティ面での不安から、キャッシュレスに移行できないという人もいるようだ。

 そんな中、「〇〇ペイ」を利用する人を「ホンモノのバカ」と一刀両断するのは、書評サイト「HONZ」代表で、元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏。成毛氏は先月、自身のFacebookにて「いちいちコンビニのレジの前でスマホをいじくり倒して、店に合わせてなんちゃらペイを起動して、それぞれに現金チャージして、QRコード表示させるだって?」と、「〇〇ペイ」の使い勝手の悪さを指摘し、JR東日本が発行するICカード「Suica」で事足りると主張。成毛氏のこの意見には、ネット上で賛同の声が多く寄せられ、同時に、「〇〇ペイ」が乱立する現状についての批判が高まることとなった。

 前述の通り、政府が主導する増税後の5%ポイントキャンペーンは、電子マネーやクレジットカード、QR・バーコード決済すべてが対象となるため、わざわざ「〇〇ペイ」を使う必要はない。お得感を煽って利用者を集める「〇〇ペイ」は、本当に“便利”なのだろうか。成毛氏に直接話を聞いた。

日本がQR・バーコード決済を取り入れる必要はなかった?

 「単純に、『〇〇ペイ』は不便だから使いません」という成毛氏は、「いちいちアプリ立ち上げて、QRコードやバーコードを出したり、読み取るのは面倒」とバッサリ。QR・バーコード決済の場合、まず専用のアプリを立ち上げ、支払い方法を選択、店内に設置されたQRコードを読み取るか、店員にバーコードを提示して、購入が完了する。一方、「Suica」は店内に設置されている専用端末にかざすだけだ。確かに、購入までの操作は「Suica」の方が圧倒的に少ない。成毛氏は「今『〇〇ペイ』を使ってる人も、そのうち気が付きますよ。『Suica』の方が便利だって。結局は、一番簡単な物に収束するんです」と断言した。

 QRコードやバーコード決済というと、中国では「アリペイ」「ウィーチャットペイ」などが普及している。日本はこの後を追う形となったが、「中国でQRコード決済が普及してるからといって、日本に取り入れる必要はなかった」という。

「中国でQR・バーコード決済が普及したのは、端末の問題でしょう。中国は企業規模が小さく、都心部を除けば個人商店ばかりですよね。個人商店はお金がないので、いちいち専用の端末を用意することができない。日本と中国ではそういった環境の違いがありますから、ただマネしてもしょうがないですよ」

 「Suica」はJR東日本が発行しているICカードということもあり、関東圏で使う分には大きな不便を感じないが、その一方で「地方では使えない」といった意見もある。「地方へ行ってもコンビニはあるし、『Suica』で買い物してますけどね(笑)」という成毛氏だが、そもそも地方は「“キャッシュレス化”自体を諦めてる」と指摘。「地方は高齢化が進んでいますが、彼らになんちゃらペイを使わせるなんて、無理な話。まず、スマホを使いこなせないとダメですから」と核心をついた。

 利便性の面で「Suica」に劣っている印象の「〇〇ペイ」だが、ポイント還元といった“お得感”は非常に強い。どちらを取るか悩むところだが、「キャンペーンが終わったらアプリを消せばいい」と成毛氏。

「私もキャンペーン中は、ちゃんとアプリを入れましたよ。全額キャッシュバックがあるなら、使わない方がバカバカしい。キャンペーンは最大限に使って、終わったらアプリを消す。私だったらそうします」

 加熱するキャッシュレス競争に、利用者までも困惑するような状態だが、結局は「何を優先するか」といったシンプルな視点が必要になりそうだ。

■成毛眞(なるけ・まこと)
1955年北海道生まれ。元マイクロソフト株式会社代表取締役社長。現在は、書評サイト「HONZ」代表、株式会社インスパイア取締役ファウンダーを務める傍ら、スルガ銀行社外取締役、早稲田大学ビジネススクール客員教授などを兼職する。著書に『面白い本』『もっと面白い本』(岩波新書)『amazon 世界最先端、最高の戦略』(ダイヤモンド社)『人生も仕事も変わる!最高の遊び方』(宝島社)など多数。

最終更新:2019/08/09 13:00
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