「ブスだから自信がない」という自由もある――山崎ナオコーラ氏が語る、容姿と自信の関係性
――いまだに「容姿差別は当たり前」という風潮がある一方、インターネットを中心に「容姿差別発言で大炎上」という例もあります。「容姿差別」をめぐる世間の動きは、今後どうなっていくと思われますか。
山崎 差別が完全になくなることはないけれど、「ブス」は生きやすくなっていくと思います。いろいろな顔の人がいることが当たり前になり、人の顔に驚いたり失礼なことを言ったりすることはどんどん減るでしょう。良い方向に変わってきていると思います。
――本書では「タイトルに反して、『自信の持ち方』の指南はしません」と書かれていますが、自信が持てなくて生きるのがつらい人が、生きやすくなるにはどうすればいいでしょうか。
山崎 私自身も完璧に実践できているわけではありませんが、“自分に集中”するのが一番。コツコツ努力して、その努力を“自分だけ”が知っていると自信につながる。私の場合は文章をコツコツ書いてきました。ただ、努力をすると、「あの人は努力している、していない」とか、「私の努力は、他人から見たらどうだろうか」とか、つい他人の目が気になってしまいがちです。でも、そういうことを気にすると、自分の努力の“軸”がぶれてしまいます。努力の度合いは“自分だけ”が知っていればいいんです。それを続けていくのはどうでしょうか。
――努力すればするほど、評価が欲しくなって余計に苦しくなることもありますよね。
山崎 私自身、「評価が気にならない」というところには、なかなかいけないですね。でも、評価を気にしている限り自信は持てない。良い文章が書けなくても、毎日2時間書くと決めてとりあえず書けたら、それだけでいいのかもという気がします。
山崎ナオコーラ(やまざき・なおこーら)
1978年生まれ。作家。國學院大學文学部日本文学科卒業。2004年『人のセックスを笑うな』が文藝賞を受賞し、作家デビュー。著書に、小説『趣味で腹いっぱい』など。エッセイに『指先からソーダ』『母ではなくて、親になる』(いずれも河出書房新社)、『かわいい夫』(夏葉社)などがある。
2019年7月10日、新刊『ブスの自信の持ち方』(誠文堂新光社)が発売。