吉本芸人、ギャラ取り分が“ブラック”でも「生計成り立つ」? 関係者が語る意外な実態
闇営業事件を発端にして、吉本興業への批判が高まっている。そもそも所属芸人が反社会的な集団と関わりをもったことが問題だったはずなのに、いつのまにか吉本が「ブラック企業」だということに論点がすり替わっている。果たして吉本は本当に、芸人にとって契約やギャラの取り分が不利な「ブラック企業」なのか、関係者に話を聞いた。
■視聴者は芸人を下に見たい
会見で岡本昭彦社長もブラック問題について語った。ギャラの取り分が「会社9:芸人1」といわれていることに対して、「5:5」「6:4」が本当のところだと反論した。
テレビ制作会社の社員が言う。
「少なくとも僕が関与したテレビ番組に関しては、そのぐらいの割合だと思います。酒の席で芸人さんが口にしていたギャラは、まさに僕らが吉本に支払った額の半分より少し下回る額でした」
では、なぜ、「9:1説」がこれだけ広まったのか?
「視聴者は芸人を下に見たい気持ちがある。そのニーズに合わせて、悲惨さを表現しようと、明石家さんまさんから千鳥さんまで、売れっ子たちが『搾取されている』と面白おかしく話す。芸人たちがそういう話をするのを吉本が放置していたのは、それが視聴者へのサービスだってわかっていたからです。エピソードトークとして盛り上がるなら、会社をネタにしてもかまわないと。そういう意味では、懐が深い会社ですよ」(前出・制作会社社員)
その一方、9:1ならまだマシで、ギャラが1円ももらえないという若手芸人も実際にいるようだ。岡本社長の説明に、「品川で初単独やった時。445席即完して。グッズも完売して。ギャラ2000円だったなぁ」など、具体的な例を出して反撃した芸人もいる。これに対しては放送作家がこう答える。
「単独公演のギャラに関しては、吉本だけではなくて、ほかのプロダクションの芸人たちも不満を口にしていますから、それは吉本の問題ではなくて、お笑い界全体の問題だと思います。ただ、運営費を考えると、そうそうギャラは払えないんじゃないですかね。単独公演を打つのに、チケットノルマがないだけでもありがたいように思えますよ」