コラム
“中学受験”に見る親と子の姿
中学受験、「突然かつ非情」な偏差値暴落――「どうせ私はバカだから」娘の言葉に涙した母
2019/07/28 16:00
舞子さんが当時のことを述懐して、こう言った。
「あの時は、慎吾に助けられました。やっぱり、受験を経験した子にしかできないアドバイスがあるんだなって……。私は親なのに、泣くだけで。もっとドーンと構えていないといけないですよね」
6年秋はスランプに陥る子が多い。それは、全員が一斉に真剣モードに突入してくるので、1問のミスが偏差値を大きく下げてしまうからだ。しかし、本番は冬。コツコツと勉強を続けている子には、やがてスランプも遠ざかる。子どもがネガティブな思考に陥ったとき、親は「自分が何とかしなければ」と背負いがちだが、「誰に子どもを励ましてもらうべきか」を考えることも大切なのかもしれない。
由梨ちゃんは、それから、おまじないのように、慎吾君から言われた「今が底」という言葉を口にして、また淡々と頑張り出したという。すると夏の成果が晩秋から出始め、当初、考えていた志望校よりもさらに上の「雲の上校」の受験を可能にしたのだ。
結果、由梨ちゃんは現在、昨年9月の時点では受験も考えられなかった高偏差値校に通っている。時々は兄が忘れていったお弁当を持って。そう、由梨ちゃんは兄・慎吾君と同じ学び舎に通っているのだ。
(鳥居りんこ)
最終更新:2019/08/14 18:14