中学受験、「突然かつ非情」な偏差値暴落――「どうせ私はバカだから」娘の言葉に涙した母
“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。
受験には普通、“定員”がある。つまりそれは、見知らぬ誰かとの“競争”を意味する。その“誰か”よりも高得点を獲得し、合格ラインよりも上に行かなければ勝利に至らないシステム。ゆえに、仲の良い友達同士だからといって、1点差で明暗が分かれてしまうことは多々あるものなのだ。
小学6年生の9月あたりになると、「やってもやっても成績が上がらない」ということが起こってくる。勉強していないわけではなく、むしろ今まで以上に頑張っているのに、成績が下がっていく現象が発生するのだ。
由梨ちゃん(仮名)もその一人であった。6年生の夏休みは、どこにも遊びに行かずに、それこそ朝から晩まで塾に缶詰め。必死に毎日のスケジュールをこなしてきた。
「こんなに頑張ったのだから、絶対に成績は上がっているはず!」
由梨ちゃんも、母である舞子さん(仮名)もそう信じて疑わなかった。2人は夏休み明けの模試を楽しみにしていたのだ。
そして9月の模試結果が出た。由梨ちゃんは「どうして……?」と言ったきり呆然とした。そこには、今まで目にしたこともないような低い偏差値が記されており、志望校合格予想欄は「再考」を促すコメントであふれていたからだ。
そんな由梨ちゃんは、さらなるダメージを受ける。仲良しのメグミちゃん(仮名)が、由梨ちゃんの志望校に対して「合格確率80%」という結果を出したと、知ってしまったのだ。
「メグは夏休みに田舎に遊びにも行ってたし、志望校別クラスの『〇〇特訓』も取っていなかったのに、どうして……?」